第43話

 ノックが終わるとすぐにバッティングに入る今日はバッティングマシーンがないから三か所バッティングのうち二か所は野手によるハーフバッティングになる。菜穂は一人ひとりのバッティングを観察するとなにかメモをとって指導らしいこともせずただ黙って見ていた。


 ランニングトレーニングが終わると全体の練習は終了した。再び真咲が集合をかける。


「お疲れ様。とりあえず初回の練習の感想だけどチーム全体に伸びしろは感じたわ。特に打撃に関してはもっと改善できるところがある。早乙女さん今後のオープン戦の予定はどうなっているの?」

 真咲は秋までのリーグ戦の間の夏のオープン戦の大まかの予定を伝えた。それを聞いて菜穂は驚いた。


「夏休みの間に五試合って少なすぎない、しかもほとんど地方リーグの二部じゃない」


「すいません。そのくらいしかつてがなくて」


 一度ため息をつくとポケットからスマートフォンを取り出して私たちの前でどこかに電話をかけ始めた。


「もしもし、あ、そうです。その節はどうも」


 五分ほどの会話にオープン戦をぜひとの言葉が飛び出して私たちは緊張を隠せなかった。


 電話越しの相手にお礼をいうとにやりと笑った。


「よし。今週の土曜日、城東大学オープン戦入ったからね」


 先輩たちは驚いた。城東大学と言えば帝都大学リーグ一部に所属しているチームで春季リーグ戦は四位だ。帝都大学リーグは京成大学、ニッポン体育大学、築場大学を始めとする全国屈指の強豪がひしめき合うレベルの高いリーグであり、全国大会でもベスト8に食い込んでくる。


「まぁお手並み拝見で城東大学に乗り込みましょう」

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