手紙
春よ来い、と呟く。
「散歩中に見かけた梅の蕾はまだ固く、根には雪の名残が。立春なんて名ばかりで、寒さが身にしみます」
そこまで書き、ペンを持つ手が止まった。白い病室で手紙を書く私。受取人はベッドで眠る君。暖かくなれば、蕾が開くようにその目も、だなんて。そんなことを思ってる。
春よ来い。
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