ご当地防衛アイドル☆ドロシードールズ

作者 寝る犬

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★★ Very Good!!

お気楽な魔法少女モノ集まって~といった企画から。
そのジャンルの一つとして見てみたら、ちょっと知ってる魔法少女モノの文法というか、楽しみ方が違うと思います。

これは、この作品の設定・世界観の一部を切り取っていく、PVみたいな小説なんですね。
ローカルなアイドルを題材にしているという作風も相まって、凄くそう感じます。
あくまで、始まりから終わりまでとにかく新しい設定や独自の熱量を持つ世界観をひたすら提示しまくる作品。
断片的な世界の一部を描いて見せて、「この物語内世界はこういう事をしています!みんなそれを見てこういう反応をしています!」っていう熱気と説得力を小説の中で見せるだけです。だけと言っちゃえばそれまでなんですが、それがやっぱり面白さに繋がっています。

SF短編の作りだなーと思いましたが、やっぱ読んでみると、そこに物語はなくとも面白いですよね。
話やドラマはないにせよ、「ワクワク」はすると思います。
PVも映画というジャンルの中の一つとして見られる方はこれも想像を広げて楽しく見られるかもしれません。
これは魔法少女小説・近未来アイドル小説におけるPVです。

★★★ Excellent!!!

時に西暦2026年。「思念資源」の発掘を境に世界のパワーバランスは崩れ、日本は他国の思念エネルギー兵器による未だかつてない侵略の危機に晒されていた。法の網に出撃を封じられた自衛隊に代わり、国土防衛の任に就くのは、人々の応援をエネルギーに変えて戦う「ご当地防衛アイドル」!
現役アイドル・あさひの戦いに巻き込まれた少女まひるは、成り行きでアイドルデビューを果たし、猛烈な声援を受けて敵に立ち向かうことになる――。

……という導入、というかこれが全てなのだが、僅か13,000字の文量の中に凄まじい熱気と突っ込み所が詰め込まれた、出落ち小説の見本のような作品。
「アイドルが敵と戦う」という着想の作品に「ファンの応援が力になる」というギミックが付いてくるのは、おおかた十中八九誰が考えてもそうなる最適解のようなもの。
本作もそれに違わず、ファンが応援アプリを通じて送った「イイネ」がアイドルのエネルギーに変わるという設定になっているのだが、戦闘シーンの大半を占めるこの「イイネ」の描写がとにかく圧巻。ニコニコ動画を思わせるオタク全開の応援コメントが、「あさひちゃんかわいすぎだろ!」だの「おぱんつ!」だの「88888888」(拍手の意)だの縦横無尽に画面を埋め尽くし、もはや小説を読んでいるのか動画サイトを見ているのかわからなくなるくらい。
「まあ、現実にこういうシステムがあったらこんな風になるよなあ」と否応なしに納得させられる熱量を持っている。

序章だけにしておくには惜しい作品だが、作者さん曰く「いつか続きを書きたい」とのこと。イイネの準備をしながら私もそれを待っていますよ。