2.25「alice in rainyland」#30
毎朝、球形の計器を打ち上げる。蒸気の発射
音は石造りの天文台の中まで響き、湖を越え
てほかの島に届いた。二人組みの打ち上げ係
は、耳栓をつけた上から手で耳を塞ぐ。発射
後の装置を点検していると、上空から計器が
落ちてくる。それはしぼんだ風船と湖に浮か
んでいる。回収して計器の数値を記録する。
今朝は私が打上げる番。私たちだけ三人組だ
。蒸気が噴出す発射装置に向かう。とても熱
いので作業はクレーンで行う。ハンドサイン
を繰り返して確認する。耳栓をしていても、
音が体を突き抜ける。風船が小さくなって雲
に消えていくのを、ずっと見ていた。優しい
雨に濡れながら、ずっと空を見上げていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます