2.25「alice in rainyland」#30



毎朝、球形の計器を打ち上げる。蒸気の発射

音は石造りの天文台の中まで響き、湖を越え

てほかの島に届いた。二人組みの打ち上げ係

は、耳栓をつけた上から手で耳を塞ぐ。発射

後の装置を点検していると、上空から計器が

落ちてくる。それはしぼんだ風船と湖に浮か

んでいる。回収して計器の数値を記録する。





今朝は私が打上げる番。私たちだけ三人組だ

。蒸気が噴出す発射装置に向かう。とても熱

いので作業はクレーンで行う。ハンドサイン

を繰り返して確認する。耳栓をしていても、

音が体を突き抜ける。風船が小さくなって雲

に消えていくのを、ずっと見ていた。優しい

雨に濡れながら、ずっと空を見上げていた。



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