12.14「alice in rainyland」#16




目を覚ましたとき、チェシャの姿はなく、私

は中庭に出た。色とりどりの花が雨に濡れて

いる。誰が育てているの? 大きな宿屋の人

が答える。勝手に咲いているだけだ。勝手に

枯れて、勝手にまた咲くんだ。宿屋を出ると

、一面に無数の花が咲いていた。名も知らな

い花が、湖へと続く道の両端を覆っていた。





「どうしてこの島の人は大きいの?」

「いろいろと知りたがる子だね。大きくなったあんたは、小さかったあんたに訊くだろうよ。『どうして私はあんなに小さかったんだろう』って」

「ここには子供はいないの?」

「昔はいただろうね。私だって昔は子供だったんだから」

「そう。ここはとてもきれいね」




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