2017.12

12.3「alice in rainyland」#14




「じゃあ雲の上には月も星もないって言うのね」

「月と星が『ない』ことも見たことがないから、月がないなんて信じてないよ」

「あなたって本当に変わってるのね」

「リアと俺は違う人なんだよ」

「当たり前じゃない」

「だから違うところがない方がおかしい」

「そうね。私は信じたいことを信じるの」





ピンク色の港に着いた。桟橋を歩いていくチ

ェシャに「待って」と言いながらボートを繋

ぐ。ピンクの雨粒が大気の中に舞っている。

すぐそこに建っているように見える食堂に、

なかなか近づけないまま、縮んでいくチェシ

ャの姿を追った。食堂のテラスで食事をする

人々は、チェシャの二倍の大きさに見えた。




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