11.29「avion de nuit」




雲間に隠れる月を見上げて歩く。月を隠した

雲の前を、飛行機が点滅しながら通り過ぎる

。私が乗れない飛行機は月に向かって進路を

取った。二日くらい眠れなかった。また飲酒

をはじめて、眠る前の薬を飲まなくなったか

ら。書かないでいる幸せがある気がしてしま

った。不幸になったとしても、書くくせに。





―――――――――――――――――――🐈





私はよく打ちのめされる。私なんかが書く必

要がない程、すばらしい紡ぎ手が存在するか

ら。昨日も出会ってしまった。一方的に知っ

ただけ。交じり合うことはない。そんな彼ら

の作品を、真摯にそばに置きたい私。書かな

い幸せを意外と安易に想像できた。それでも

私は書いている。昨日も、今日も、明日も。




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