11.28「alice in rainyland」#12




チェシャは葡萄の月生まれ。私は収穫の月生まれ。私たちは同じ年に生まれ、今年十五歳になる者同士だった。

「月ってなんだか知ってる?」

「さあ」

「雲の上にあるのよ。夜になると形を変えながら光るの。毎晩月が見える雨のない国が暦を作って、私たちもそれを使っているのよ。読んだこと、ない?」





「月の本は読んだことないけれど、本はすきだな」

「どんな本を読むの?」

「なぞかけの本とか」

「何か覚えてる?」

「どうして『老人』と『カジキマグロ』は似ているのか」

「待ってね。絶対当てるから」

「こたえはないよ。こたえのないなぞかけしか載ってないんだ」

「そう。つまらなそうな本ね」




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