11.4「alice in rainyland」#6
部屋にはバスタブがあった。大きな窓が夕闇
の雨を映していた。本を書いた人はその国に
行ったわけではない。別の国があるのか本当
はわからない。この島に住む人は誰も向こう
岸を見た事がないと宿屋は言った。向こう岸
を探しに行って戻ってきた人もいないのだと
。バスタブの中で静かな雨音を聴いていた。
リネンのベッドで目覚め、朝食を頼む。キッ
チンに座って、宿屋の茶色いしっぽが揺れて
いるのを目で追っていた。私が焼いたパンが
フレンチトーストになって出てきた。宿屋の
体は柔らかそうな毛で覆われ、耳は頭の上に
生えている。父と同じくらいの背をしている
けれど、姿は服を纏った猫そのものだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます