第28話 武器の使い道
「テオ! ワイバーンの相手はこちらで引き受ける! 10分で良い、ベルセリオンを足止めしてくれ!」
「分かった、エルドとエミリアも気をつけて!」
敵主力への浸透、それは速やかな掩護が期待できない孤軍奮闘とも言える戦いだ。
おまけに、ラインメタル少佐以下第1中隊は敵増援の対処、アルバレス中尉は後方からの狙撃と陣地防衛に手一杯。
はてさて、残った20人ちょっとでどうあの化物を倒したものか......。
「フォルティス大尉、グレネードランチャーの残弾はいくつです?」
「あと1発だ」
装填作業を終えたナスタチウム中尉が、隣から尋ねる。俺としては嫌な予感しかしない。
「中尉......まさかとは思うが――」
「ええ、ゲームの勇者は"剣"でいつもああいうの相手してるじゃないですか。たまにはリスペクトしてみるのも、悪くないんじゃないかと思いまして」
この世全ての戦闘狂に災いあれと懇願してしまいそうだ。
救いを探すなら、我々は帝国の近代化された銃火器、ステータスを一気に底上げする魔導戦闘服というゲームバランス崩壊も辞さない装備というところだろう。
どの道距離を置いたところでいつかはブレスを食らう、ならばこの意見具申も捨てたものではない。
「貴官の言いたいことは理解した、だが無理だと感じたらすぐに距離を置く。分かったな?」
「もちろんです、狙いはどこに集中しますか?」
狙い......か、部隊員のグレネードランチャー残弾数を加味すれば不可能ではないな。
「首だ、重機関銃の直撃で甲殻にもヒビが入っている。狙うならそこだろう」
「良いと思います、斬首作戦ですね」
「響きが悪いぞ中尉、せめて首チョンパとかオブラートに包んで言ってくれたまえ」
彼女がレクトルを心の底から嫌悪するのも、俺とはまた違う過去の遺恨からか。だがまずは目の前の仕事を片付けよう。
「魔導ブーストを最大出力! 総員!! 撃ち方用意!!」
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