"けいおん!!?"(けいおん!第3期仮想台本)9-12話草稿1

鈴波 潤

第1話「律の決心」1

◯朝の光が差し込む寮の食堂。

 澪と紬が黙々と朝食を食べている。珍しく二人とも会話がない。


澪「ああ律おはよう」

紬「律ちゃん…」


◯律が入り口に立っている。手引き式のトランクを引いてきている。


澪「家…帰るのか?」

律「うん、ちょっと父ちゃんの顔、見てくるわ」

紬「お父さん、どう…?」

律「今朝電話あってさ。手術のいる病気じゃないってさ」


◯律後ろからどんと押されて前につんのめる。背中に歯磨きと歯ブラシを持ち、パジャマを着た唯が抱きついている。


唯「おとおとお父さん、良かったね」

◯唯、子供の様に泣きじゃくる。

◯澪も紬も泣き出す。


紬「昨日の晩、倒れたって…。でも良かったねえ」

澪「手術要らないって?」

律「うん、メニエル氏症候群って言って。最初は脳梗塞とかと症状似てるんだって」

澪「あ、保健で習ったことある。耳の中の三半規管がおかしくなる病気だよな」

律「それで立ってられなくなって倒れるんだって。それで父ちゃん頭打っちゃって」

唯「お見舞いに行くんだよね」

律「普段は元気な人なのにさ。なんか狼狽えて、律に会いたい。俺は死ぬかもしれん。一目。って。まあ一泊で行ってくるわ」

唯「良かったねえ。律ちゃん昨日は、父ちゃんが倒れた。大学やめて働かなくちゃ行けないかもって」

律「まあ、それはまだわからないけどな。取り敢えず、ちょっくら行ってくるわ」


◯律食堂を出て行く。

唯「ひと安心したらお腹へったや」

澪「その前に歯みがいて着替えてこい」


◯新幹線車内

(律)「父ちゃん大丈夫かなあ…。4年間の学費は学資保険の積立があるから、俺が倒れても大丈夫って前に父ちゃん言ってたけど、これからはバイト増やして、仕送りなくてもやって行かなくちゃ。

やっぱり配達もやらしてもらう様に社長に頼もう」

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