第21話:飛び交うハート
何とか
紗雪はいつ食べるつもりなんだろうか。一緒に食べようと、座るように言っても聞かないので、サンドウィッチを口元に差し出して食べさせた。あ、俺の食べかけだったな、悪い。嬉しそうだしまぁいいだろう。
しかし、瑠璃さんが落ち着くまで結構大変だった。「紗雪が呼び捨てなら私は何て呼んでくれるの!?」から始まり、ハーレム発足記念に旅行しようだとか島を買ってあげるだとか、芸能人を呼んでクルーザーで何たらかんたらはしゃいでいた。
最近テレビ見てないから芸能人と言われてもピンと来ないが。これではまるでホストと金持ちの客みたいだな。ん?あながち間違いでもないような。
テンションがやたら高い瑠璃さんに軽くお断りをしつつ、むしゃむしゃとサンドウィッチを食べた。
「さて、食べ終わった事だしプレイヤーデビューについて話し合いましょう。場所は
プレイとは言え必ず演技をする必要はないらしい。ポイントを稼ぐ事が第一目的で、普通にプレイヤーと話をして帰るだけというお客様もいるのだとか。
しかし、今回のお客様はそうとも言い切れないらしい。
「プレイヤーちゃんねるの管理人なのよ、このお客様は。多くのお客様がプレイヤーを指名する際に、参考にするまとめサイトの管理人なの。でも不思議ね、紗丹君のデビュー相手になったと言うのに、その報告がプレちゃんに載せられていないわ。でも、だから予約が5件だけで済んだと言っても過言ではないわね。紗丹君のプロフ情報が公開になったとネットに拡散されてたら、収集の付かない事になってたかも知れないもの」
どんだけそのプレちゃんとやらに影響力があるのか知らないが、デビュー相手がそんな人で大丈夫なんだろうか。
「旦那様なら絶対に大丈夫です」
どこからそんな根拠もない信頼が沸いてくるのか。
後の4件の予約内容を確認するべくアプリを立ち上げると、画面がゆらゆらと飛ぶハートマーク一杯で埋め尽くされ、操作が何も出来ない状態になっている。
何だこれ、壊れたか?
「あの~、このハートって何ですかね?ウイルスか何かですか?」
3人にアプリ画面を見せると、またもや3人のテンションが上がる。
「すごいわね。牡丹、プレちゃんを確認してくれる?」
「はい、どうやら先ほど紗丹君のプロフ
つまりどう言う事ですか?
「このハートは
「600ポイントを超えていますね、やっぱりプレちゃんの影響力は大きいですね」
「つまり、お気に入りされた際に送られるハートポイントだけで、すでに紗丹君はランクアップが確定したって事ね」
ただし、ハートポイントのみでのランクアップは出来ないようで、最低でも1人のアクトレスとプレイをする必要があるそうだ。って事は、今日このプレちゃんとやらの管理人と会うだけで、俺のランクはFからEへとランクアップする事が確定したそうな。何ちゅうシステムだ。
「さすが旦那様です」
だからその信頼はどこから来るのか…。
「ってかランクアップに必要なポイントについてはお断り屋協会の運営本部しか知らないんじゃないかったんですか?俺に言っていいんですか?」
「問題ないわ、本部役員が全員ここに揃っているもの」
あぁ、確かに代表取締役が2人と取締役1人がここにいましたね。
もう一度言う、何ちゅうシステムだ。とにもかくにも、この飛び交うハートのせいで予約を入れてくれた人の情報や、求められているシチュエーションが見えない状況だ。事前情報なしにプレイに挑んでいいものなのだろうか。
「それについては問題ありません。スペックスへ行けば詳しい事前情報やお相手のアクトレスの傾向などを教えてくれるようになっています。ランクがFでもEでも、まだお店の中でしかプレイ出来ませんから、そんなに構えなくても大丈夫ですよ」
構えるも何も、俺はプレイヤーとして必要な心構えや知識が少な過ぎると思うんだが。
「本来であれば2週間に渡る研修期間があるのですが、旦那様にはすでに5件の予約客が付いています。今更2週間も待って下さいなどとは言えません。それに、研修など旦那様には必要のない事、何の問題もございません」
おい、紗雪がもっと丁寧にプロフを公開する意味を俺に教えてくれていたらこんな事にはならなかったんじゃないのか?思わず眉間に皺を作りながら、紗雪を見てしまう。
「
そのルビおかしくないか?
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