マグナムボトルになりたいオレ

志田 新平

第1話 

ワイングラスに白ワインは注がれかねた。


              一


 初エッチ。それは甘美な響きだった。

「ユ、ユーコ先輩っ、優しくお願いします」

「いいよ、来て、久我君」

 安いひなびた民宿の一室。六畳一間の部屋に布団が二枚敷いてあった。現時刻は夜の一時。

 部屋は真っ暗でほとんど何も見えない。だがその分、オレはユーコ先輩の肌の温度を感じていた。

 高二でついに童貞卒業か。

 オレは高まる胸を必死に落ち着けようと、深呼吸をする。が、ダメだ、全然ダメだ。初めてネットでエロ画像を見た小学生の時、あるいは道端に捨ててあったエロ本を偶然読んだ中学生の時と比べ物にならないほど、オレの胸は猛烈に燃え上がっていた。

 端的に、ありていに、下世話に言えばムラムラしていた。

 そりゃそうだ。夢にまで見た実物がそこにあるのだから。

 ゴクリ、とオレは生唾を飲む。

「ほら、ボサっとしてないでパンツ脱ぐ」

「はいッ」

 オレは意を決してズボンごとパンツを下ろした。

「久我君…………それ……」

 ユーコ先輩が戸惑った声をあげた。

「え? 何ですか」

「小っさ!」

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