君の全てを僕は

ハル

第1話 僕の世界はまた始まる

 なぜ人は「恋」に悩み「恋」に怯え、臆病になるのだろうか


 君の心の中が知りたいと幾度となく天に祈り叶わなかったことだろうか

 .

 .

 .

 .

 新品のスーツを見にまとい、僕は心晴れやかに線路沿いを歩いていた。空には雲ひとつない青色が広がり、まさに僕の心を描いてくれているようだ。まだ見慣れぬ景色をキョロキョロと見渡しながら、僕の広角は少しばかりあがっていたのかもしれない。


 二ヶ月前に高校を卒業した僕は、長い長い春休みを終えて、新しい学びの地である大学へ進学した。まあどこにでもある平凡な大学だと想像してくれて構わない。


「おっ!はるきもスーツ似合うんだなあ」

 横から突然声をかけられ驚きながら目を向けると、少し小柄で色白な男の子がニヤニヤとこちらを見ている。

「おいおい、りょうすけは制服みてーだな。似合わなすぎだろお前」

「どこがだよ!!こんなに社会人に見えるのなんて俺くらいだって!」

「はははっいつも朝から笑かしてくれるなぁお前は」



 りょうすけは中学からの同級生で、毎日一緒にバカなことして遊ぶ、唯一の親友だ。

 僕が志望校を○○大にするって言ったときも、こいつはニヤニヤしながら

「じゃあ大学でも一緒に遊ぶか!」

 と即決した。僕は呆然として目を擦ったがこいつは本気だった。

「お前がいねーと俺学校行く気なくなっちまうんだよな。まあ、そうゆうことだから、来年もよろしくな!」


 僕の心なんてまるでないかのように、突風のような言葉の1つ1つは、胸に突き刺さり過ぎ去って行く。

 .

 .

 .

 .




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

君の全てを僕は ハル @hal0310

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ