ゲーム脳は異世界でも健在である!

はまてよ

このゲーマーはチュートリアルをブン投げられたみたいです

 「ここどこやねん」


 身長は150cm台。年齢は18。黒髪で見た目はクソ生意気な小中学生みたいななりをしている彼がいる場所は、周りに何もない真っ暗な空間。突然の出来事に状況整理ができていない彼はぶつぶつ早口で必死に記憶を探る。


「まず俺は学校から帰ってすぐにPCの電源を入れてゲームを起動してあいつと新ダンジョン攻略のためにゲートの前まで移動してあいつが来るまで放置してそしたらゲーム内でメールが来て貼ってあったURLクリックしたらモニターがペッカー!!って光って気づいたら今の現状・・・」


 こうなった経緯をしっかり確認して彼は深呼吸して深く息を吸い込んで張り裂けんばかりの声で一言。


「what the fuck!!(ホワッツザファック )」


 大きなこだまが響いた後、彼の目の前にどこかで見たことあるような四角いウィンドウが現れてその中に白い文字が浮かび上がる。


 [チュートリアル]


 続いて、


 [player name]


 次に、タッチパネルが出てきた。彼が毎日使っているキーボードと作りは一緒である。


「ゲームのチュートリアルみたいだな。名前を入れろってか。」


 そういうと彼は手慣れた手つきでパネルを叩く。そこに打ち込まれた名前は・・・


 [ゼルト]


 入力が終わると目の前の足元が光だし、ホログラム的な感じの女性が現れた。


「フリーダムワールドへようこそゼルト。私たちはあなたを歓迎します。その他もろもろの説明は面倒なので以下略。」


 それだけ言うと彼女は消えてしまった。その代わりに目の前に木でできたドアが現れた。


「そんだけ!?てかチュートリアル終わり!?名前の入力と歓迎の一言と今から行かされる世界の名前しか教えてもらってないんだけど!?てか、一番重要なところ省略すんなよ!!持ち物なんも無しでいきなり外にほっぽり出されるとかどんな鬼畜ゲーだよ!!」


 チュートリアルが全くもってチュートリアルしていないこととあまりにも理不尽な対応にゼルトは大声で喚き散らすが全く状況は変わらず目の前の木のドアがそれを物語っていた。


「いや待てよ?もしかしたらチュートリアルの代わりにお助けガイド的なものがあるのかもしれない。もしそうならこの対応でも100歩譲って許せる。無ければ・・・」


 もしそんなものがないという状況になった時を想像してゼルトが青ざめるが大丈夫と自分に言い聞かせる。なぜ大丈夫と言えるのかは彼が生粋のゲーマーだからである。


「今までやってきたゲームでは必ずそういったガイドがあったしそこで大体ゲームの仕様や目的その他もろもろ情報を引き出すことできる。よし!何とかなりそうだな!」


 そういうとゼルトはドアを開けて異世界へと足を踏み入れる。だが彼はこの時大きな勘違いをしていた。ゲーマーであるが故の絶望的な勘違いを。

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