魔法少女のとなりには 【本編完結】
桜森 ナナ
序章
第1話 私のとなりには
とても寒い。私はきっと目の前にいるヤツに殺される。ヤツの足は段々と私の方へ近づいてくる。もう体は動かない。これから死ぬっていうのに涙の一粒だってでてこない。怖いとさえ思っていない。どうしてだろう。きっと私の一番大切な人はもうこの世にないからかな。そんなことを思っていると、じゃがいもが転がって、私の足に当たる。あぁ、そうだ。今日は千夏が好きだったカレーを作るんだったなあ。千夏というのは私の妹。今、日本にいるたった一人の家族。父親は海外に出稼ぎに行っていないし、母親は私が小さいころ、魔獣という突如現れた人間の天敵に殺された。そして妹もさっきヤツに殺された。私はただ、妹と幸せに暮らしていきたかったんだけどなあ。私は瞼を閉じる。ふと、口から言葉が漏れる。
「ごめんね。」この言葉は誰に対して出た言葉なのだろう。海外にいる父親に妹を守れなかったことに対しての謝罪だろうか。親友との約束を守れなかったことへの謝罪だろうか。それともダメな姉だということを妹に詫びているのかもしれない。そうやっていろんな人の顔がうかぶ。それと同時に思い出もよみがえってくる。すると急に死ぬのが怖くなる。涙がとめどなくあふれてきて、私が急に真っ暗などこかへ一人取り残されているようなきもちになった。
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