「心の中を選ぶ」

@hougen

第1話「板ばさみの感情」


安っぽいカメラで写した画像。

現像で失った、質感。色合い。第一印象の劣化。

「こんなはずじゃなかった」と思った。


友達に手渡す予定だった写真をワイド四つ切りの大きさに印刷してもらった。

「店員の手腕の所為だ」と、決めつける。

第一印象が薄れた写真を手に「さあ、これはどうしようか…」と、

写真を入れた封筒に戻した。


平べったい物に、途端に変わった。


自分の部屋の、少し黄ばんだ座椅子。

背もたれに投げ出した自分の身体。

足の屈曲を戻せないまま“Lonnie's Lament”という、john coltraneの曲が

ラジカセから流れているーー


lament-嘆き-


いや、そこまででは…と、突っ込んでみた。

alegriasという、フラメンコの曲種が開かれたままの楽譜が横に転がったまま、

どっちなんだ…と、さらに突っ込んでみた。

「占いはね、自分の現状について、うなずけるものでないと信憑性を感じないんだ」

と、突っ込んだみた。


信憑性のある占いを信じている。



占いの第一印象の劣化。

占いに対して、より良いものを求めようという欲。

より精度の高いものを求めようという行い。

開かれたままのドアを閉めること。


結局、Lonnie's Lamentの誰のバージョンが良いなんて選べなかった。


聴き比べた感想として、さあ、


         自分で弾いてみよう!




心のドアを開けたまま、自分の内なる感情を、誰かに向けて



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