第4話 どうして
「……コ。ハナコ‼︎」
名前を呼ばれて我にかえる。
ここ、どこだっけ?
ああ。プロのおっちゃんコーチがいるジムか。
あの女といたコーチといたジムじゃないとこか。
「どうしたんだ?いつものお前らしくないぞ!」
「何のことでしょう?」
肩を掴まれ、揺さぶられる。
「大丈夫か?」
「練習、したいです」
「ハナコ、今日は帰れ」
「え?」
「今のお前にトレーニングさせちゃいけないと思うんだ。だから。帰れ。ドクターストップならぬ、おっちゃんコーチストップだ」
「練習したいです」
「お前、壊れたレコードみたいになってんぞ!」
「練習したいです」
「バカか! 今のお前には無理だ!帰れ!」
「練習したいです」
おっちゃんコーチはため息を1つつき、ハナコに背を向けた。
「……気がすむまで、走れ。走って疲れたら、好きなもん1つだけ食って寝ろ!それが今お前がすることだ」
ハナコは着替えて外を走った。
走って、走って、走った。
夜の帳が降り、一番星どころか満天の星が見えるくらい暗闇が目の前に広がっていた。
その夜、じいちゃんが死んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます