啓蟄(綺堂談義其の二)

篠田 悠

 春が来た。

 待ちに待った春だ。

 私達は外に出た。

 やっと陽の光を浴びたというのに。

 何故皆、逃げるのだろう。

 私はそれほどにも、悍ましい存在なのだろうか。

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