187.王からの謝罪?
◆◇◆
「カティア、マジですまねぇっ‼︎」
「い、いえ……」
ただ今夕飯です。
ご飯を食べようとしたものの、僕は手がつけれないくらい頭の中がレストラーゼさんが知らせてくれた事でいっぱいだった。
セリカさんはお家に帰られてるので、事情を知ってるのはあとフィーさんだけ。
だから、僕を心配してくれる皆さんにフィーさんが代わりにお話してくれたのだ。
それで、冒頭に戻るんですが、エディオスさんが代表して僕に謝罪している次第だ。
しかも、エディオスさんらしくない土下座のスタイルで。びっくりして悩んでたのが少し吹っ飛んじゃったから僕はやめるように言っても、エディオスさんは姿勢を変えなかった。
「うちの婆様達が何かしてくるだろうとは思ってたが……っ!」
「もう止めようがないもんねー?」
「なんでフィーが止めなかったんだよ⁉︎」
「だってレストにカティアの事知られちゃったからさ?」
土下座から膝立ちになって、エディオスさんはフィーさんに振り返ったが、フィーさんは相変わらずマイペースでコフィーを飲んでいた。
バックヤードは今彼の魔法で封鎖済みです。
「しかし、母上が関わっていたか……」
僕の隣でセヴィルさんは顔色が最悪でした。
これでもかと白い肌が青白くなり、突っ伏さないように頭を手で支えていた。
「ディア叔母様は特にカティアさんにご興味がおありでしたもの。無理もありませんわ」
アナさんは唯一落ち着かれていて、ゆっくり紅茶を飲んでいました。サイノスさんは、お昼やおやつ以外は来る事が減ったので今日もいません。
「じい様は勘付いてたからまだしょーがねぇとこがあったにしたって、親父やお袋もかよ⁉︎」
「ちょっと前にレストが言ったんじゃないの?」
「先先代が来たのは、カティアについてだけだったな」
まだ顔色は戻っていないが、受け答えははっきりして来たようだ。エディオスさんもやっと床から立ち上がってご自分の席に戻ってくれました。
「滞在理由を裏づけんのに、敢えて俺達の親戚にさせんのはまだいいが……だからって、収穫祭で親父達とまったく話さないってのも変だな」
「むしろ、その縁戚の子供に会うために離宮から出て来たと言うことにすれば自然ではあるか」
「だよなぁ……」
僕のためを思うと撤回するより実行させた方がいいみたい。
アナさんもしっかり頷かれた。
「どの地位かは秘匿にすべきだと思いますわ」
「出来るだけ、俺達から離れなきゃいいしな? っても、多少は挨拶させねぇと不審に思われっからそこは適当にするが」
決められた事はもう避けようがないので、僕への対処などをどんどん決めてくださる。
そこは、そこはありがたいんですが。
「僕の、どこに興味なんてあるんでしょうか……」
御名手の事実はレストラーゼさんだけしか知らないし、それ以前から興味津々なご様子だと言われても。
正直、自信がない。
「……言っただろう、先先代が伝えた事が余計に興味を煽ったと」
「え?」
どうやら無意識に口に出してたようで、セヴィルさんがこちらを見ていた。
「俺と最初に城を回った時の噂が、どうやら離宮にまで届いてたそうだ。詳しい事は聞けていないが、俺の母上は特に呼びたがっていたのはこの間話しただろう?」
「そ、そうなんですか……?」
「俺が気に入る子供がいるだけで、年甲斐もなくはしゃいでいたな……」
実際は婚約者だなんて、言えないですもんね。
「だからとは言え、根掘り葉掘り聞きたがるのを防ぐのは俺の役目だ。絶対に俺から離れるな」
「あ、はい」
きっぱり言われるから、思わず頷いちゃった。
「そーそ、セヴィルにこの際甘えちゃいなよ?」
「フィルザス神こそ、気を配って欲しいのだがな?」
「僕はそれこそ頭の悪い子達の方さ?」
「…………」
フィーさんがいるから万全とも言いがたい。
取りこぼすことも、彼にだってあるようだから。
「ま、それはともかく収穫祭で採った果物とかはデザートのピッツァなんかにしようよ!」
「お、いいな?」
「作られるのはカティアさんですのよ?」
「その分俺らが収穫すればいいだろ?」
怖いお話と難しいお話を終わらせるのに、フィーさんが話題を変えてくれました。
そう言えば、レストラーゼさんの乱入から収穫祭の詳細を聞けてなかった。
「収穫祭ってどんな感じなんですか?」
「カティアの思ってるのだとどんなの?」
「え、えーと……動きやすい服で籠を持ちながら摘んでく、とか?」
主に果物狩りのイメージでしかないが。
「大雑把には城でも市井でも同じだよ。違うのは、数を競うくらいかな?」
「競う?」
「遊戯って言うか、この時期だからの競技みたいなものでね? 男と女それぞれの部門も作るくらい大掛かりなんだよ」
「……運動会ですね」
もしくは、バラエティーなんかのミニコーナーとか。
「「「運動会??」」」
「ふゅ?」
ホットミルクを飲み終えたクラウも首を傾いだ。
「運動するのに、わざわざ祭りでもすんのか?」
「そうですね。学校……こっちだと学園規模で行ってたんですよ。学園全体じゃなくて、部ごとに開催するんです。体格や体力の差も著しいですから」
「ほー? また聞かせてくれよ。今は、収穫祭の続きだな。俺らが参加するのは、王族や近親者を含めごく少人数。親父やじい様の世代以外は、フィーが言ってたように男と女で部門分けするな? それで思い出したが俺とアナの姉貴とそのガキ達も来るはずだぜ」
「お姉さんもですか?」
たしか、年齢的にはサイノスさんよりちょっと上らしいとは聞いたけど。
きっと、アナさんに負けないくらいの美女と勝手に想像しています。だって、この世界の人達ほとんどが美形ですもん。フツメンに微妙に近いのは、フォックスさんだけしか見たことがないからかな?
「ミラお姉様は式典の時はほとんどお話出来ませんでしたものね」
「いつもはチェイシアにいるしな?」
「チェイシアって、シュレインみたいな地名ですか?」
「いや、他国だ。ヴァスシードより更に南の方角で、ミラはそこの現国王妃だ」
「おお……」
まだまだセリカさんとのお勉強は始まったばかりだから、世界情勢なども幼等部以下だ。
国や地名もちょっとずつしか教わってないので、要所要所聞いてしまうのは仕方ない。
(けど、ファルミアさんみたいに王妃様……)
元は、エディオスさん達のお姉さんで王女様の中でもトップクラスの王女様だったから、きっと皆さんの憧れの人的存在だっただろうなぁ。と、勝手に想像しています。
「姉貴もカティアの料理は気になってるみたいだぜ?」
「へ?」
「ほんの少々お伝えしましたら、お姉様悔しがられましたの。エディお兄様のように食べ物に関しては人一倍凄いですから」
「あと酒もな? 俺未だに姉貴に勝てたことねぇし」
実の御兄妹からの言葉で、イメージがどんどん崩れていっちゃいます。
そうだった。
この二人のお姉さんだから、きっと個性的なお姉さんじゃないとも言い切れない。
「次会った時は振る舞ってもらえないかとも言ってたな?」
「え゛」
ようやく落ち着いてた緊張感がぶり返してくるではないですか!
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