竜の石造に出会うために、100階に挑む
シンエンさま
スタートラインは平凡なんだ
プロローグ、道端で勇者の集まり
あのモダンな司令塔は綺麗だ。
見た目はトランプタワーというか、
窓はしっかりついていた。
形は細長く、100階あるんだ。
ちなみに、道端で勇者たちが集まっていた。
アーチャー、ナイト、魔法使い、ヒーラー、
この四人組であった。
この幻かのように見える廃墟は
あの一本だけちゃんとしたタワーを囲んだ。
なぜなのかはわからなかった。
だが、それに挑むと決めた4人の勇者たちは
ある事だけは知っている。
100階にある
辿り着けば、願い事は一つ叶うというのだ。
それぞれ罪に染まった歴史を背負ったこの四人、
あの危険の多いタワーに足を運ぶと決めた。
4人で100階まで挑み、
4人分の願い事を竜石に伝えようと、
4人で血で誓って決めた。
アーチャーには、彼女がいた。
要約永久に愛する彼女にしたかったと
アーチャーは思った。
彼の浮気の多い歴史を彼女が知って、
彼を愛しなくなった。
その愛を取り戻すための願いを
叶えるためだけに、
彼はこの冒険に身を捧げた。
ナイトには、子供がいた。
子供はある事故で死に、
ゲームに夢中になった自分が
その死因だった。
息子を生き返らせるためだけに、
彼はこの冒険に身をささげた。
ヒーラーには、クラブのメンバーであった。
読書のメンバーであった。
だが、メンバーたちに嫌われた。
なぜなら、自分が孤独で、
人と喋るのが苦手で、
人と仲良くできずに、
肝心なときになると、
役立たず、強制退会と言われた。
「外向」を身につけるためと、
クラブの人に愛されるためだけに、
彼はこの冒険に身を捧げた。
ちなみに、魔法遣いは
不明であった。
なぜ参加しているのかも、
理由もわからない。
彼の願い事は、
何一つ明かしてはいないんだ。
だが、ちゃんとした理由がなくても、
冒険のチームに入れられた。
チームにいれば「強い」からだ。
この四人は、
20代の大人たちなんだ。
それぞれの罪を抱えて、
自分の黒い歴史を
なくすために、
あの冒険に挑む。
てくてくと足音を立て、
この四人は鎧輝く夕暮れの下で、
あのタワーへ足を運んでいた。
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