彼女のネガイ - 4

 "風神の化身ウィンディ"へと駆け出した僕の隣に、イドニスが刀を抜きながら並走する。

 足を一歩踏み出す毎に吹き付ける風の強さが強くなっている気がする。

 星霊の暴走は、刻一刻と進んでいるようだ。


「ああクソ、言ったはいいけどどうすればいいか全然分かんないよ! どうすればいいんだよ、イドニス!?」

「だろうと思ったから着いてきたんだろうが、黙ってとりあえず攻撃しろ」

「い、良いのか!?」

「良くはない、が黙らせんことにはどうにもならん」


 そう言いながら、イドニスは力強く地面を蹴り上げて"風神の化身ウィンディ"に飛び掛かる。


「『風』の相対属性は分かってんだろうな」

「『水』だろ!? 風は土や火を崩せても水は崩せないとかなんとか……そういうことか!」


 だからイドニスはプエルタに『水』の星霊である"清浄なる水ウンディーネ"と契約させたのか!

 なら、"風神の化身ウィンディ"からプエルタを解放して"清浄なるウンディーネ"を使ってもらえば……!


 そう考えている内に飛び上がったイドニスは、"風神の化身ウィンディ"に一太刀を浴びせようと刀を振りかざす。

 すると、みるみるうちにイドニスの持つ大太刀"イワトオシ"に、水の波動が渦巻き始める。


「――水波すいは翔竜閃しょうりゅうせん


 振り下ろされたイワトオシから、水の波動が水竜となって"風神の化身ウィンディ"に襲いかかる。

 水竜は自らの身体を"風神の化身ウィンディに巻き付け、身体を雁字搦めに締め付ける。


「なんだよ、それも星霊魔法せいれいまほうか!?」


 イドニスは鼻をふんと鳴らし何も答えない。

 ああホント、こういうときまでいけ好かない奴だ!


 ともあれ、イドニスの水竜が"風神の化身ウィンディ"を縛り上げている今がチャンス――!


 僕は大きく地面を蹴って飛び上がり、プエルタが居る場所に手を伸ばす。

 プエルタは迫ってくる僕の影に気付いたのか、弱々しく顔を上げる。

 そうして目が合った途端、彼女は悲鳴に近い声で叫ぶ。


「――来ないでぇ!!」


 突然の突風に横薙ぎにされ、身体が大きく吹き飛ばされる。

 『夢幻魔法ドリームワークス』の力では反応し切れず、そのまま僕の身体は地面に叩きつけられて、ゴロゴロと二転三転とする。

 手にしていた剣も、強風に煽られ遠くへ飛んでいった後に消失してしまう。

 叩きつけられた時に頭を強打したらしく、意識が朦朧としていてはっきりしない。


「カザキ!!」

「あ…………ああ……ちが、わたし……こん、な……」


 ……立たなくちゃならないのに、身体が言うことを聞いてくれない。

 身体が言うことを聞かないなら、『夢幻魔法』を使って無理やりにでも……。


 そう思っていると、誰かが駆け寄ってくる音が聞こえる。

 足音の主が僕の頭を持ち上げて、膝に乗せる。

 その後直ぐに、暖かな感覚が僕の頭を覆う。


「……ミュウ、か」

「ジッとする。傷、塞がらなくなる」


 ――遠くで激しい轟音と飛び回る音が聞こえる。

 あのイドニスも、厳しい状況に追い込まれてるのだろうか。

 そう思うと、段々意識がはっきりとしてきたので、ミュウの顔を見上げる。


「もう、大丈夫だから」

「…………」


 僕の言葉を聞いて、不安そうな様子を見せるミュウ。

 ミュウの言いたいことは分かるし、心配をさせてすまないとは思う。

 だけど、今の僕には休んでる暇はないんだ。


 「ありがとう」とミュウの頭を軽く撫で、重い身体を奮い立たせる。

 そんな僕のもとに、ガレウスさんがゆっくり近づいてくる。


「坊主……」

「何も言わないで。僕はあなたに何を言われても、もう止まれない。彼女の『願い』を支えてあげると誓ったから。――それに、願いを叶えた"その先"もずっと支えてあげたいと思ったから、僕は行きます」

「俺は……あの子は、独りだと思ってた。あの子はソラウス息子の背中をずっと見てきたからな、勉強に一生懸命になって、本来年頃の女の子ならあるはずの、ロクな付き合いもなかった。だが……そんなあの子でも、独りじゃなかったんだな」


 そう言いながら、彼は"風神の化身ウィンディに覆われているプエルタの方を見やる。


「そうですよ、彼女は独りなんかじゃない。彼女のお父さんのソラウスさんも、彼女を託されたクエル先生も、彼女を支えたい僕たちも。みんながいたから、今ここに彼女は居る」


 僕の言葉を聞いて、ガレウスさんは拳を強く握り締める。

 そうしてもう一度僕の方を振り返る。


「すまねえ坊主。あいつを、プエルタを助けてやってくれ。後生だ」


 ガレウスさんの言葉に僕は一歩踏み出す。


 言われるまでもない。――彼女は必ず、助けてみせる。


 セイオリスを新たに創り出し、"風神の化身ウィンディへとその切っ先を向ける。

 そして僕の隣に、"風神の化身ウィンディ"を引きつけ撹乱していたイドニスが降り立つ。

 怪我はしていないようだが体力の消耗が激しいらしく、顔には出していないが確かに息はあがっている。


「おせーぞ魔法バカ、魔法ばっかに頼ってるから肝心なときにヘマをする」

「お前はホントにうっさいな!! 感謝の一つくらいしてやろうかと思ったけど、絶対してやらないからな!!」


 それを聞くと、イドニスは手にしていたイワトオシを構え直す。

 さっきの魔法剣を出す時と同じ構えだ。


「さっきと同じ方法で縛り上げる。相手も馬鹿じゃないだろう、さっきよりも縛っていられる時間は少ないと思え。その上で……あの風のバリアはお前に任せる」

「ああ。イドニスこそ、肝心なときにヘマするなよ!」


 イドニスは鼻を鳴らした後、その場で飛び上がり、イワトオシに水の波動を纏わせる。

 そして、イワトオシを"風神の化身ウィンディ"目掛けて振り下ろす。


「……水波・翔竜閃!!」


 それと同時に、こちらも第三の『夢幻魔法』を解放する。


「――『第三セット夢幻改竄フォースアルター! "青の明星セイオリス"よ、水霊の一矢となり、風を貫け!!」


 その合言葉スペルに反応し、セイオリスはその刀身を矢の形に変貌させていく。


 第三の『夢幻魔法』である『夢幻改竄フォースアルター』はその名の通り、創り出したイメージを新たな形に改造・強化する魔法だ。

 今回は剣を矢に変形させ飛び道具として扱えるようにしたが、用途は他にも色々ある。

 持ち手はそのままに刀身だけを肥大化させたり、蛇腹剣じゃばらけんのように刀身をしならせるというような事も出来なくもない。

 強力になる分『夢幻』の消費も大きくなる、今の僕にとってはとっておきの必殺技とも言える。


 全てを包み込む水柱のように肥大し、巨大な矢となったセイオリスを、夢幻むげんで練った光の弓に番える。

 そうしてプエルタを覆う風の膜に狙いを定め、撃ち放つ。


「『水星の旋律メイル・シュトローム』!!」


 放たれた矢は、その切っ先を分裂させ幾重もの矢となり風の膜を貫く。

 貫いた水の矢はその場で弾け飛び、弾け飛んだ水滴はまるで雨のように辺り一帯に降り注ぐ。


 これで路は出来た。後は……彼女の元へ行くだけだ!

 持てる力を振り絞って、風の膜が閉じる前にプエルタの元へ走り出す。

 "風神の化身ウィンディ"を縛っていた水竜も、今にもはじけ飛んでしまいそうだった。


 今を逃せば、もう二度とチャンスはない――!


 地面を強く蹴って飛び上がって、プエルタに向かって手を伸ばす。

 風の膜はすぐに再生し、もう大人も入れるかという大きさだった。


「プエルターーーーッ!!」


 また彼女は俯いていたが、やはり弱々しい表情で顔を上げる。

 それはもう、見るに堪えない苦悶の表情だった。


 きっと後一歩、飛び上がるのが遅ければ彼女のもとにはたどり着けなかっただろう。

 今、僕の腕の中には身体を震わせ、嗚咽を漏らしながら泣きじゃくる彼女の身体がある。

 「ごめんなさい」と、何度も何度も謝りながら頬を涙で濡らす彼女を、僕は優しく抱き締めた。


「もう、大丈夫だよ」


 今、彼女にかけられる精一杯の言葉を投げかける。

 悪いのは誰でもないのだから。もし、悪が居るとすればそれは――。


 彼女を抱き締めていた腕を離し、両肩に手を乗せる。

 しっかりと彼女の瞳を捉えて、話しかける。


「君が止めるんだ、"風神の化身ウィンディ"を。君の願いを叶えるために」

「わ、たし……が……」

「うん。――君はもう、ひとりじゃない」


 彼女は僕の言葉に目を見開いて少しの間黙り込んでいたが、やっとさっきみたいに僕に見せてくれた柔らかい笑みを浮かべる。


「やっぱりカザキくんは、噂通り――ううん。噂以上に、優しい人だよ」


 彼女の言葉に堪えきれなくなって思わず目を逸してしまうが、上空からかけられた一言にすべてぶち壊される。


「おい、こっちは死ぬ気で縛ってんだ。イチャついてねえでとっとと終わらせろ」

「分かってるしイチャついてないよ!! ホントにさあ、イドニスは空気を読む練習をした方が良いと思うなあ僕はぁ!!」

「空気を読む練習したほうがいいのはお前だ。TPOを弁えろ」

「何でお前がTPOを知ってるんだよ!!」


 イドニスが"風神の化身ウィンディ"を抑えてくれているのは確かなので、とても不本意ではあるけれど、そろそろ終わらせるとしよう。


「プエルタ、準備はいい?」

「うん! いつでも、大丈夫だよ!」


 そう言って彼女は、足元に『青』の魔法陣を展開させる。


「母なる水を司りし星霊よ。我が名、我が血を標に、契約のもと汝が姿を我の前に顕せ! "清浄なる水ウンディーネ"!!」


 契約の文を彼女が詠み終わると同時に、辺りに水飛沫が散り、水の渦巻きが僕たちの目の前に姿を現す。

 そうして"清浄なる水ウンディーネ"は、『契約主マスター』であるプエルタを守るように、"風神の化身ウィンディ"に立ちはだかる。


 "風神の化身ウィンディ"はイドニスの水竜を破り、鬼のような形相で"清浄なる水ウンディーネ"を睨みつけている。


 今更だけど、"風神の化身ウィンディ"は「何故、誰に、何を怒っているんだろう?」という考えが、ふと頭をぎる。

 そんな僕の疑問に答えるように、プエルタは呟く。


「……そっか。あなたは、知ってるんだね。お父さんの、最期を」

「えっ……?」


 つまり"風神の化身ウィンディ"はあの事件の真相を知っているって事か!?

 そして、『契約主』であったソラウスさんの『最期』に怒っている、ということは……。

 いや、今考えるのはよそう。とにかく今は、"風神の化身ウィンディ"を止めることだけに集中するべきだ。


「プエルタ」

「大丈夫。分かってる、よ。……ね、お願いがあるの」


 そう言って彼女は杖を持っていない左手を、僕の右手にそっと添えて優しく握る。


「星霊魔法を使いこなす一番の要素は、心を強く保つことなの。だから……私に、力を貸してくれる?」

「――もちろん。僕で良いなら」


 僕は握られた右手を、握り返す。

 彼女は決心したように、"風神の化身ウィンディ"をその茶色い瞳で真っ直ぐに見据える。


「お願い"風神の化身ウィンディ"、もう怒らないで! 父さんの遺志を継ぐために、私に力を貸して!!」


 その言葉とともに"清浄なる水ウンディーネ"は幾つもの巨大な水泡を作り出し、ビームのように水の矢を"風神の化身ウィンディ"へ向けて発射する。


 対する"風神の化身ウィンディ"は怒りに身を任せるが如く、腕を横薙ぎに払って水の矢を消し飛ばそうとするが、その腕を水の矢が貫く。


 顔を歪め、苦しみ悶える"風神の化身ウィンディ"に向けて、僕ももう一度セイオリスを変質させ、『水星の旋律』を放つ。

 『水星の旋律』は確実に"風神の化身ウィンディ"の胸を捉えて、幾重もの矢が貫く。


 それでやっと"風神の化身ウィンディ"は戦意を喪失したようで、その場で身体が崩れ落ちていく。


 プエルタはそれを見て、"風神の化身ウィンディ"の元へと近付いていく。

 そして、"風神の化身ウィンディ"の頬へ手を添えて、優しく撫でる。


「辛かったよね、苦しかったよね。――でも、もう大丈夫だよ。だから休んで、ね?」


 プエルタの足元に、『緑』の魔法陣が展開される。

 爽やかな風が辺りに吹き、プエルタを中心に緩やかな風の渦が出来上がっていく。


「遥かなる風より生まれし星の民よ。世界樹の導きのもと、今こそ契約を交さん。我は"ソラウス・マナーナ"を継ぎし者、"プエルタ・マナーナ"。――汝が魂を、我が魂に預け給え」


 彼女が契約の文を読み終えると、"風神の化身ウィンディ"の身体は風に溶けるように、『エメラルド』の魔導石へと戻っていく。

 完全に魔導石へと戻った後、それをプエルタが拾い上げる。


 ……これで、終わった。彼女はソラウスさんが遺した物を継ぐことが出来たんだ。


 彼女の『願い』は、果たされた。


 プエルタは僕の方を振り向いて、優しく微笑みかける。

 僕もそれに応えようとしたその時、僕の意識は闇の中へと暗転していった。


 * * * * * * * * * * * * * * * * * *


 あれからどれくらい眠っていたのだろう。

 身体の至る所が痛んで、まともに動けたもんじゃない。

 それにまだ戦いの疲れが抜けきっていないのか、異常なほど眠い。


 けれども、今がいつなのか知りたくて僕は眼を開いた。

 その後すぐに、僕は目を開いた事を後悔することになる。


「…………なんで寝起き早々、イドニスの顔を見なきゃならないんだよ」

「ご挨拶だな。――お嬢ちゃんたちをいつまでも起こしてるわけにいかねえだろうが。看病が要らんなら俺も寝たいんだが?」


 横目で部屋を見やると、ソファの上で仲良く添い寝しているミュウとプエルタの姿があった。

 それからデスクの前に居たクエル先生は、僕が起きたことに気が付いてこちらに寄ってくる。


「カザキさん。調子はどうですか?」

「すごく……眠いです。でも、いつまでも寝ていられないから……」


 クエル先生は、眼鏡をクイっと上げる動作を見せると、苦笑しながらミュウとプエルタの方を見る。


「無茶をしてはいけない、と言われてるんじゃないんですか? あなたはあの日から3日も眠っていたんですよ」

「えっ……そんなに経ってるんですか?」


 クエル先生はこくりと頷いて、窓際へと寄っていく。


「プエルタさんは無事、"風神の化身ウィンディ"を使役することに成功しました。これには『雷神の神鎚トールハンマー』も大騒ぎでしたよ。ソラウスさんの再来になる、ってね」

「……そう、ですか」


 これで彼女の『願い』は叶った。

 だけど、まだ僕にはやらなくちゃいけないことがある。


 僕たちの会話で目を覚ましたのか、プエルタとミュウは目を擦りながらこちらを見る。

 二人はソファから飛び起きて、こちらに勢い良く近付いてくる。


「カザキ、大丈夫!?」

「カザキくん、大丈夫!?」

「う、うん……大丈夫」


 余りの気迫に若干引き気味になるが、こんなにも心配してくれているのだと思うと心が暖かくなる。

 ミュウとプエルタ、二人の距離もなんだか近くなったような気がして嬉しい。


 その後、空いた3日分の食事を身体が動かせない僕の代わりに、ミュウが食べさせたくれたりした。

 そして、一段落着いた頃に、クエル先生が口を開く。


「――『操舵師選定試験』は一週間後に迫っています。そしてグレゴールさんはもう、プエルタさんが皇位星霊を使役できるようになった事は耳に入れているでしょう」


 プエルタは真剣な面持ちで、窓の外の宮殿を見つめる。


「狙うならそれまでにか、『操舵師選定試験』で、ですね」

「恐らくはそうでしょう。故に、早急に手を打たねばならない」


 重い身体を『夢幻魔法』で持ち上げて、ベッドから身を起こす。

 僕の身体には、何重にも包帯が巻かれていた。

 特に腹部には念入りに巻かれていて、違和感を覚える。


「あれ……僕、お腹に傷なんかあったっけ」


 少しの間、部屋に奇妙な静寂が訪れる。

 それは少しの物だったが、この部屋の空気が凍りついたような、そんな感覚だった。

 そんな中、イドニスが口を開く。


「戦いに夢中になってたから気付かなかったのかどうかは知らんが、お前が"風神の化身ウィンディ"に吹き飛ばされた時に腹も強く打って、大きな痣が出来てたんだよ」

「そうなんだ。だから隠すために巻いてくれたんだね」

「……ええ、包帯を巻いてくれたのはミュウさんですから。ミュウさんにお礼を言ってあげてください」

「はい。……あの時の治療のことも含めて、ありがとねミュウ」


 その言葉を聞いた途端、グイッとミュウは詰め寄ってくる。

 そして、僕の手を掴んで小指を絡める。


「約束。もう、無茶しない」

「あ…………うん、ごめん。もう無茶はしないよ」


 なんか毎回こう言っておいて、やっぱり無茶せざるを得ない時があるので絶対とは言えないんだけど……。

 約束しておかないと後が怖いので、ミュウと指切りをして約束を交わす。


 プエルタが申し訳なさそうに、僕の元へやってくる。


「ご、ごめんね。私のせいで……」

「ううん、プエルタのせいじゃない。僕がそうしたいと思ったから、自己責任だよ」


 そう言って、僕はプエルタに微笑みかける。

 あの時、微笑みかけてくれたプエルタへ応えるように。


 プエルタは少々戸惑っていたが、やがて苦笑しながらミュウと共に僕をベッドから起こしてくれる。


「……星療術師せいりょうじゅつしとしては、もう少し横になっていてもらいたいものですが、というのも何度も言いましたね。歳をとるのは嫌なものだ」

「クエル先生、ありがとうございます。でも大丈夫です。僕は一人じゃないから」


 そう言ってミュウとプエルタの顔を見る。二人とも僕に笑顔で応えてくれた。

 そしてイドニスの方は見ない。こいつはすぐに調子に乗るから。

 後ろの方で、お決まりのふんと鼻を鳴らすイドニスの声が聞こえてくる。


 クエル先生はそれを見て苦笑していたが、真剣な面持ちに戻り、口を開く。


「それでは改めて、『風來少年のカザキ』さんにお願いします。"イシュクール"墜落事件の真相を明かすため、『サンドリウセ台地』へ向かってください」


 クエル先生の言葉に僕は頷く。

 そして調査へ乗り出すための準備へと取り掛かるのだった――。

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