異世界なんて面倒だ

エビワンタン!

第1話 異世界転移、非常識との遭遇

 いつも通りの登校、その日は何もかも普通だったはずなのに、そこだけはいつもの、いつも通りの日常とは違った。一言で片づけるなら、非常識だった。


 いつもの登校ルートを通って学校へ向かう 大槻大門おおつきだいもんは学校へと向かう。その先の曲がり角を曲がると、曲がった瞬間黒くも明るい、謎の光にが迫ってきた。ただ、彼の目には一瞬見えた3人の人影。最後は意識が遠のいていった。



 次に大門が気が付くとそこには見たことのない風景が見える。のどかな山奥、耳をすませば、トンビの鳴き声や、虫の音。風が山を通り抜ける気持ちのいい音……ではなく、灰色がかった気味の悪い雲に、聞いたこともない悍ましい何かの呻き声。今までの常識では語れない不気味なその光景に大門は言葉が出なかった。

 不幸中の幸いか、大門のかばんにはスマホが入っていた。彼は迷うことなくスマホを開いた。


「……インターネットが使えない。どんなド田舎なんだよ。」


 インターネット環境ではない場所なんて現代の日本ではそうそうないのだが、そもそも彼がいる場所は日本なのかどうかも怪しいが……

 大門は取りあえず、スマホをズボンのポケットにしまい少し散策を始めることにした。


 腐りきって触っただけでボロボロになる木に紫色の土、生ごみのような臭いを放つ茶色の草。明らかに現実とは程遠いものしかない。

 しばらく散策して、大門は奇妙な3人組に出会う。大門と同じ学校の制服を着ている3人組だ。学年ごとに色の違った校章を付けているので3人組がそれぞれ1年2年3年と全員バラバラの学年だということも一目でわかった。


「お、また一人増えた。」

 

 1年のカラーの校章を付けているやけに嬉しそうな少年が大門に近寄ってくる。


「お、2年生か……じゃあ俺が一番年下。敬語の方がいいですかね?」

「……この場で良く平気にしてられるな。」


 1年の少年に思った事を大門は言った。大門自身も随分と平気そうに見えるのは見間違えだろうか?


「まぁ、男だし、こういうのはどちらかというと嬉しい方だと思いますよ。先輩もそういうタイプの人じゃないんすか?」

「スマホが使えなくてどうしようかとしか思ってない。」

「意外と、余裕あるんスね」


 ケラケラと1年の少年は笑う。何が楽しいのかさっぱりわからない大門だが、こういうバカが1人いたほうが気持ち的に楽なのかもしれない。


「俺は大槻大門おおつきだいもん、大門でいい」

「大門先輩スね、僕は圭介けいすけって読んで下さい、それとあそこにいんのが3年の星風ほしかぜ先輩と2年の剣宮つるぎみや先輩ッス。2人ともなんか、ここに来てからうろついてたら見つけたんで取りあえず一緒に居るんスけどね……最初に名前を名乗ったきり、なんスよね。どうしようかと思ってたら、大門先輩がきたわけスね。」

「なんで先輩呼び? 普通は君かさんじゃないのか?」

「いやー、それが、僕の居た中学じゃ先輩のことは何々先輩って呼ぶ風習だったんスよ。なんでスかね?」


 ですをスで話す圭介、大門は多分圭介は運動部系のやつだたんだろうと推測だけした。それ以上はあまり深く聞かずにしておいた。


「そういえば、全然思ってたのと違うんスよね、てっきり白い光に包まれたから勇者として呼ばれたんじゃないかと期待してたんスけどね…まさかの魔境に放置されるとは思ってもみなかったッス。」


 圭介はケラケラと場を明るくしようと笑わせようとしているつもりなのかはわからないが先程からずっと大門に話続けている。


「そういえば、今、白い光って言ってたが、俺は黒い光に包まれたぞ」

「そうなんスか? 僕は、白でしたけど……先輩たちは銅でしたか?」

 

 圭介が突然話を振ってくるとは思ってもいなかったのか女子2人はとても驚いたらしい。お互いの手を握り合って大丈夫だよと言い合っていたその手も放すほどに。


「緑だった」

「黄色だった」

「ん~~色に法則性とかなさそうッスね」


 また、女子2人はお互いの手を取り合って、大丈夫、大丈夫と言い合っている。きっと誰かが助けてくれる、きっと誰かがと、お互いに励まし合っている。


「……でも、何にも飲まず食わずでやっていけますかって言われたら無理だと思うんスけどね、先輩はどう思います?」

「そりゃ無理だな。何か食えそうなものこの辺にはなさそうだしな…」

「まず太陽がでてないッスからね…」

 

 苔のような草や茶色い生ごみのような臭いを放つ草などは少しだけ周りに生えているという位しか植物という植物はない。あとは朽ち果てた木のようにボロボロと崩れる木か。


「取りあえず、先輩たちも一緒について来て下しさいよ、助かるかもしれないですからね……大門先輩、助かると思います?」

「人にでもあって、俺らの口に合うものを食べさせてくれるならしばらくは生きれるかもな」

「カァー厳しいッスね。見たところ周りには人工物なし、変な呻き声のような声は聞こえるんスけど、その姿見えない。今が夜なのか昼なのかもわからない位薄暗い。地面に生えている植物はとてもじゃないが食えない。先輩の言う通りかもしれないッスね。」


 呑気に話す奴だと圭介を横目に大門は何かしらの手がかりはないかと周りを何か見落とさないように慎重に見ながら進んでいる。

 バカ広いこの土地に動物の気配が呻き声だけというのが更に不気味さを増してくる。それと同時に、何もない場所でこれからどうしようとか、思ってたのと違うとか4人それぞれ別々の事を考えながら進んでいるのか進んでいないのかわからない。この魔境と呼ぶに相応しい大地を彷徨い続ける。

 いつ終わるのかわからないもしかしたら永遠に助かることが出来ずに、餓死するまで彷徨い続けるのかと、4人のうちの誰かが思った。


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