幼女戦記 アドルフの名を持つ男

パラオ泊地

第1話 死んだら何故か赤ん坊になっていた

 俺は、欧州から見て東の果てにある極東の国、日本に住んでいたごくごくありふれた社会人の一人であり、その中の会社で働くサラリーマンだった。

 厳しい就職活動を文字通り死を覚悟しながらも生き残り、何とか大手の企業に就職することができた。同期とも交流が盛んで先輩方も厳しいが面倒見がいい方が多く、恵まれた職場だと思った。

 



 人事部に配属されるまでは。



 ここに居る上司の先輩がとにかく怖かった。無感情に社員にクビを宣告する姿はサイボーグかなんかじゃないのか?そう思う時もあった。しかしクビにされていく皆さんは、無断欠勤やら何やらで会社のルールを破り続けた人たちばかりだ。上司の先輩は無能な人間でもルールに従っている者はクビにすることは決してなかった。

 ……非常にクビを切りたがっていたが。


 そんな上司に従いながら忠実に与えられた仕事、慣れていけばそれ以上の仕事をしていくと、使える奴と判断され、極々たまに飲みに誘われるようになった。

 そこで分かった事は先輩は完全無欠の無神論者だという事だ。神様の話題が出るたびに鼻で笑い「そんなものはいない、必要ない」と切り捨てた。ちなみに俺は神様はいると思う。ただし一神教の神はいない、いたら我が日本国の八百万の神々が黙っていないし、ギリシャ神話の神々もヒンドゥー教の神々も北欧神話の神々もケルト神話の神々なども黙っていないだろう。小さい頃から近くに神様たちはいた。全ての物に神様は宿っていると俺は信じている。

 それともう一つ先輩は以外にも歴史、特に軍事史に詳しかった。俺は嬉しかった。俺も好きだからだ。歴史と軍事が!そこからは二人で大いに盛り上がったのは覚えている。同期たちともしないであろう濃密な会話できてうれしかった。

 これからは怖い先輩ともうまく出来ると確信したのが半年前のことだ。




定時に仕事が終わり、空がとても綺麗に晴れていたので歩いて帰る事にした。




それがいけなかった。





公園近くを歩いているといきなり頭に大きな衝撃が直撃し、そのままバランスを崩し車道へと倒れ込んだ。



そして目の前から車が迫って来るのが見えた。


俺は目を瞑りながら願った。



神様仏様、助けてください!親孝行できてないんです!友達の結婚式に行かないといけないんです!まだやりたいことが沢山あるんです!まだ幼女戦記読み終わってないんです!



お願いです……八百万の神様………





そこまでは覚えている。










次に目を開けた時は、見知らぬ女性に抱っこされていた。







数多くおられる神様。俺は生きています。生きていますが違う国に送ってしまったようですね。



だって喋ってる言葉、日本語じゃないもん……

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