第34話 刻々とカウントダウンが始まっていた

おかんの事で仕事を休むことも多かった為、会社では、上司にもあらかたの状況は常に報告していました。

年末にバタバタと、特養に入所したので、年明けにこのことを報告しました。

上司も特養入所の難しいことを承知しており、運が良かったことなど、理解してくれ「これで安心やね、だいぶ楽になるね」などと声をかけてくれました。

そして入所してから約2週間、これまでなにも問題なかったのですが、施設の看護師から電話が入りました。

内容は、おかんが1人でトイレへ行き、おそらく車イスに乗り損ね、床に座り込んでたとの事でした。

おかんは、移動は車イスですが、自力で車イスに乗ったり、また逆にベッドに移ったりは出来ていました。

こう言ったわずかな事故的なことがあれば、都度連絡を頂けるシステムになっているので報告してくれたのですが、特に怪我等もないとのことで、あまり気にしませんでした。

しかし、翌日また看護師さんから電話が入りました。

今度は、部屋で同じように車イスに乗り損ねて、床に座り込んでいたとのことで、怪我とか特に異常はないと言われたので、取り敢えず「わかりました」と言って電話を切りました。

さすがに何か気になりましたが、会社内でも、インフルエンザで休む人もいて、特に要請もなかった事から、様子を見ようと思いました。

しかしこれが前兆であり、刻々とおかんの中でカウトダウンが始まっていたのだと気づくのに、多くの日にちを要しませんでした。

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