第10話 要介護認定に立ち会う

数日が経ち、病院より電話がありました。

要介護認定用の書類が出来ていることと、胃の検査が実施出来たとのことで、病院に来てくださいとの連絡でした。


早速仕事帰りに、病院へ立ち寄り、書類を受け取りました。

また、看護士より、検査結果は、医師より詳しく説明があるが、特に異常はなかったとのことです。

食事も徐々にとるようになっているので大丈夫そうだということでした。


一応部屋を覗いたが、寝ているようなので、そのまま帰りました。

そして翌日昼休みに、市役所へ行き、書類を提出しました。


提出して2日ほどして、市役所の担当者から連絡がきました。

本人の面談をしますが、家族の人の立会いが必要なので、日時を決めたいと言う連絡でした。

担当者の方もあまり空きが無く、2パターンのどちらかということで、半日有給で済むように、午後からの日にちで決めました。

以前もらった介護施設のパンフレットを見ると、老健施設では、要介護度が高いと対応不可、また、認知症対応不可とかもあるようで、この辺がどうなのか不安で、余り酷い状態にならないよう、願いつつ、当日を迎えました。

女性の方1名での面談のようです。

挨拶をして、早速おかんの所へ行きました。

幸い、状態は落ち着いているようで、「この状態で最後までおってくれよ」と心の中で思いながら、見守りました。

最初は体がどの程度動くかチェックしていました。

そして、医師の記入した現状と照らし合わせながら、項目を一つ一つ確認され、

「食事をはじめ、ほぼ全面的に介護が必要な状態ですね」といわれました。

ここまでは、おかんも特に変化無く落ち着いていました。

いよいよ、認知症のチェックにはいりました。

色々とおかんに質問をなげかけていきます。

さすがに、名前や、誕生日は普通に答えました。

しかし、「ここはどこですか」と聞かれると、全くわからない様でした。

病院と言う認識もない様です。

また、「今の季節は」との問いに対して、ちょっと考えて「春かな」と答えました

おそらく、部屋の温度の感じでそう答えたのかとおもいました。

そして、認知症のテストで必ず出る、3つの品物を見せ、後でもう一回聞くのをやられました。

結果は、3つの品物を見た事すら忘れている様でした。

私は内心、もう終わるかな、早くおわってほしいなあと思いつつ、見守っていましたが、雲行きが怪しくなってきました。

だんだんおかんの口調が荒くなって、関係ない話をしだしました。

誰かにお金取られたとか、叩かれたとかも言いだしました。

担当者も「なんだろう」といった不思議な顔をしながらも聞いていましたが、

暫くして、これ以上は無理かと判断したようで取り敢えず終了しました。

やはり、担当者も内容が気になったようで、私は「妄想と言えばそうなのですが、色々あってきたのも事実で、ごっちゃになってるんでしょう」とにごしました。

最後に、認定まで1ヶ月ほどかかることを告げられて、立会いは終了しました。


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