Middle 3 白昼の会議
ホビーショップ「マイスター」…モデルガンを中心にプラモデル、フィギュア、食玩まで揃えている、各種オタク御用達の店。
そして、UGN星川第二支部の隠れ蓑。日常を護る超人たちの前線基地そのものである。
速人と泉が午後の授業を受けている頃、支部では炭井と響真の調査会議が行われていた。
「“シルキィウェブ”は、“インジェクター”を名乗った女の教え子ということですが…調査を任せてよかったのですか?」
「泉チャンには辛いかもしれませんが…誰でもない泉チャン自身が事実を知りたがっています。
情報収集は一番知りたい者に任せるのが一番ですよ。ですよね、響真クン?」
「自分はあくまで命令に従っているまでです…。」
やや不服そうに言い返し、響真は報告を始める。
本題は「FHセル『
『セルリーダーの“インジェクター”が『洗脳』に類する能力を以て、強力なオーヴァードを手当たり次第に支配下に置いている。』
『“インジェクター”自身は通信越しで指示を出し、決して姿は見せない。』
『洗脳された者を捕縛する試みも、洗脳された者の自爆、さらなる洗脳による同士討ちなどによって失敗に終わっている。』
『“インジェクター”の正体も、洗脳を解く方法も、現時点では不明。』
「…セルの構成員には、行方不明になったUGNエージェントの姿も確認されています。
他のFHセルにも侵攻し、構成員を洗脳していたようで、相当敵視されているようです。」
「オーヴァードでも短時間で支配下に置くとなると…かなり危険ですねぇ。」
その上、と響真が続ける。
「自分が交戦した中で、明らかに動きの違う敵が1体いました。
成人男性サイズの人型。腕を強化した白兵戦闘
「シンプルなパワータイプ…同系統のエージェントは少なくないでしょうが…。」
何か引っかかるのか、モデルガンのグリップを弄りながら思案する炭井。
そこに携帯端末が震え、メッセージの着信を伝える。
内容を一瞥した炭井は微かに笑みを浮かべると、おもむろに立ち上がった。
「その強敵サンの心当たりを思い出しました。一緒に来てくれますか?」
―――――
「速人クンが『眼つきの鋭い、白いスーツの男性』が“インジェクター”と一緒にいたのを覚えていたそうでして。
容姿が一致しますし、このタイミング。十中八九彼も関わっているでしょう。」
炭井がディスプレイに示したのは、ある人物のプロフィールだった。
『“ディアボロス”春日恭二』
UGNとFHの誰もが知る名。
獣化した肉体を武器に戦う
「
「…“ディアボロス”が“インジェクター”に協力していると?」
「どうでしょうねぇ…。プライドの高い彼が大人しく従っているなら、よほどの事情があるか、あるいは…。」
既に洗脳されて、手駒にされている。
チルドレンとして“ディアボロス”の脅威を聞かされていた響真にも、それがいかに恐ろしいことか察せられた。
「いずれにしろ、彼との交戦も覚悟する必要がありそうです。
速人クンと泉チャンが帰ってきてから、改めて作戦会議といきますか~。」
大きく伸びをして、鼻唄混じりに出ていく炭井と、それを呆れ気味に見送る響真。
しかしその頃既に、不死身の悪魔は確かに狙いを定め、動き出していたのだった。
>>SCENE END
“
侵蝕率:46%
ロイス取得…「敵」“インジェクター”(執着/●憎悪)
“バレルマイスター”炭井六郎
侵蝕率:55%
固定ロイス…「上司」霧谷雄吾(○誠意/無関心)
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