ダブルクロス・ストーリー:スターダスト

たこ貧民

『Dominant Stinger』

Opening 1 ある少年のはじまり

 私立白矢しらや学園高校に通う高校生、氷見川ひみかわ速人はやと

 放課後の教室、日常の一コマから物語は始まる。


「速人、この後カラオケ行かないか?」


 鞄を背負って誘ってきたのは、親友の二階堂にかいどう拓海たくみ

 今日は部活の練習はないらしい。


「ごめん、ちょっと委員会の用事があってさ。今日は…。」

「図書委員も忙しいなー。天文部の飯島さんも来るけどなー。」

「…でもすぐ終わるから行けそう、かな。」

「素直だなお前は…。じゃあ部屋番号は送るから、待ってるぞ!」


 少し赤くなる顔を隠し、さっきまでより軽めの足取りで、生徒会室に向かう速人だった。


 ―――――


 用事とは、買った図書の一覧を提出するだけ。の、はずだったが…。


「カタブツ委員長…!せっかく飯島さんも来るのに…。」


 資料は15分でまとめられたのに、委員長の細かなダメ出しを直して一時間。

 結局速人が学校を出た時には16時を回ってしまった。


「…氷見川速人さん、ですね?」


 校門を飛び出したところで背後から呼び止められ、振り返る。

 そこには白衣を着た女性が立っていた。

 柔らかな微笑み、その目の奥の歪な光が、速人の精神を揺らしていく。


あぁ、あの人か。(誰だ…?)

お久しぶりです。(初めて会うはずだけど)

突然どうされたんですか?(いきなり話しかけて、一体誰なんだ?)

「あ、ぐァ…!」


 頭の中でちぐはぐな思考が連なる。

 思考のノイズに耐えかねて、速人は頭を抑える。


「えぇ、貴方に大事な用があるの。一緒に来 て も ら い ま ス ヨ …。」


 その思考も、女性の言葉と共に薄れていく。

 次第に意識すらも闇に落ちていった。


 ―――――


 氷見川速人が目を開けると、そこは見慣れない部屋だった。

 清潔な病室のようだが、どこかおぞましい雰囲気の漂う部屋。

 どうしてこんなところにいるのか、思い出す間もなく

 心を削り取られるような、記憶を塗り潰されるようなおぞましい感覚が、全ての思考をかき消す。


 自分自身が黒く蝕まれ、崩れて消える。

 そんな不吉なイメージを残して、速人の記憶は途切れた。


 >SCENE END


 *****

 私立白矢高校2年・陸上部

 氷見川ひみかわ速人はやと

 201■年■月■■日(木)放課後より、行方不明

 侵蝕率:???%

 シナリオロイス:「親友」二階堂拓海(○友情/劣等感)


 ―――――


 昨日と同じ今日

 今日と同じ明日


 世界は何も変わりなく、何気ない日常はずっと続くと思っていた


 だが世界は

 知らぬ間に変貌していた


 悪意と欲望、毒と支配、守護と復讐

 湧き上がる衝動、逃れえぬ恐怖、避けられぬ戦い


 非日常はここから始まる

 立ち向かうしか、道はない


 ダブルクロス the 3rd Edition

 『Dominant Stinger』


 「ダブルクロス」、それは「裏切り」を意味する言葉…

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