包丁
親だって兄弟だって殺せるのに
もちろん自分だって殺せるのに
殺すまでの時間がかかる
包丁を取り出す時さえ心臓が高鳴り
手が震えて上手く持てない
突きつけることもできないから
机や床に置いて見つめ合う
親や兄弟の肌を見ながら突き立てる妄想をし
薄い肌を切り裂く現場を想像し
己の肌も見て血が出るのを妄想している
きっと誰だって殺せるだろうけど
きっと誰だって殺せない
どこかで何かが切れないと
上手く世間をしれたから実行できないのか
何も知らなければ実行できたのか
堂々巡りの思考の中で
目の間にある使い古され錆びた包丁だけが真実だった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます