なれはて
それはあまりにも唐突で理解に時間がかかることでした
分からないというのは、どうも非現実的に感じまして後ろからじわじわと真実が追いかけてくるのです
黒い影のような、夕陽で足元にできた影が迫ってくる感覚が慣れずに恐ろしくて仕方がありません
焦燥感とでも言えばいいのでしょうか
ああ、言葉がとても不自由で仕方がない
仕方がなくて全てを放り投げて逃げてしまいたい
逃げたその先で後悔をして未来を嘆き崖から飛び降りて
岩と波で身体を砕いてもらい、血潮に、餌に
何も残らぬように、残らなければ感じなければ、よかったのです
結局、私は真実を現実と受け止めて生きているのです。
後悔はしていません。随分と冷静になったと思います。
ただそうなのである、と妥協し受け止め、後ろから押し寄せる影とも仲良くなれた。
今や黒き影は私の椅子で毎日ぶつぶつと何かを言うけれど
ああ、そう。
としか言えない。そうすると小さい声でぶつぶつと言うけれど、
私は崖から飛び降りませんし、現実は理解しましたので他の人へどうぞ、と言ったら。
椅子はただの椅子になり、いわゆる憑き物が落ちたと言っていいのでしょう。
あれは魔性のなれはて
決断し嘆いて泣いて足掻く人間を嘲笑う、正真正銘の魔性のなれはて
そこらにいる毒とは違う、本当に嘲笑い「本人が選んだこと」と言う
選ばせたつもりで選ばせない魔性のなれはて
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