第128話 魔王と勇者は、日本で初の販売をしたかも?(30)
すると殿の横で接客を忙しそうにしていたエヴァがこちらを向くと、『ギロリ』と、儂等二人を睨み始めると同時に。
「(そこの二人──! イチャイチャするのは、帰宅後にすること~。今は仕事中なのだから。仕事に専念すること~! わかりましたか~? 二人とも~?)」
エヴァは自身の脳内から儂等二人に、直接不満を告げてきたので。儂は少々驚いた。
だって昨日迄は、エヴァは儂の敵国の勇者だったのだよ。
だってこの脳内での直接会話は、儂の一族に伝わる重大な伝言を一族の者に告げる時に使用される魔法なのだから。昨日迄の敵であったエヴァが使用するとは不思議でならない。
と、思っていると。
「(レヴィアタン、私も王である旦那さまともう既に繋がり妃で、一族の者であるわけですから。これぐらいの魔法ならば安易に使用できます。それよりも。早く仕事! 一族みんなのために、日本の円を沢山貯蓄しないといけませんから!)」と。
儂と殿との二人に慌ただしく告げてきたのだ。
だから儂もエヴァに「(ウム、そうなだなぁ~。未だこの先増えるだろう子達の為に沢山稼がねばならぬのぅ~)」と。
自身の脳内から独り言のように呟き。
「さぁ~どうですか~? 菓子はいらんかね~? 五つで千円じゃ~。そこのお兄さんどうじゃ~? 我が家のお菓子は美味いぞ~!」と。
儂の持つ紅玉の瞳と目が合い、魅入られた男性達へと。儂は次から次へと試食を配り、声をかけた。
「どうや~。いらぬか~?」
と、エヴァの甲高い声や殿のゆるりとした口調──。
そして隣のちくわの御主人の押し売りに負けぬように頑張って声を出し、商いを続けた。
亜ノ国の女王レヴィアタンだったのだよ。
◇◇◇◇◇
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