第102話 魔王と勇者は、日本で初の販売をしたかも? (5)

 まあ、今日の朝は、起きるのに少々辛く大変ではあったが。


 これも儂自身が女としての喜びを味わい堪能したからこそ起きた出来事であるから。辛いと愚痴を漏らしてはみたが、全然辛くはない。


 それどころか? やっと将来を誓いあった伴侶と逢え、愛を育んだ後の朝だったから、今も儂が言葉を漏らした通りで幸せを沢山儂は感じているのだよ。


 まあ、そんな仲慎ましい儂と殿なのだが。ふと儂は気がつくと、殿は急に何やら無言で『ゴソゴソ』と、作業を始めだした。


 だから儂は殿に、「何をしているのじゃ~?」と、訊ねた。


 するとなぁ~、我が家の殿は嬉しそう……と、いうよりも?

 悪戯っ子のように微笑みながら。


「ん? ああ~、立たせているんだよ。これをね~」


 と、儂に言葉を返してきた。


 だけどなぁ~? そんな事は傍から見ていればわかる事だから。


「まあ、それは儂も傍から殿の様子を見ていて分かるのだが……。殿~? それを立たせて、何かしら意味があることなのか~?」


 と、再度儂は殿に訊ねてみたのだよ。


 すると我が家の殿少々困った顔を始めだした。


 そして、少し間が空けば苦笑いをしながら。


「う~ん、意味があると言えばあるような気もするし。ないといえば全くといってよい程意味がないことかも知れないね?」


 儂にこんな様子で言葉を返してきたのだ。


「う~ん、そうか~?」


 だから儂は取り敢えず、殿に言葉を返した。


 う~ん、でものぅ~?


 我が家の殿は、妻の儂が質問した後も、無言で作業を続けるのだよ。


 だから儂は仕方なく、殿がしている作業を後ろから『ソオ~ッ』と見守ることにしたのだよ。


 傍から他人が儂のことを見ても、本当に控えめな奥様だねと、言葉が漏れるように『ソォ~ッ』と、殿の後ろから邪魔にならないように覗き込んだのだよ。


 でッ、少しばかり殿の後ろから覗き込んでいるとね。儂は先程から殿が立てている金色に輝く長い物に対して、妙に視点がいき、魅入らせられてしまう。


 儂自身も何故だか分からないのだが?


 ついついと、黄金色に輝く、細い物へと凝視してしまうから不思議でならないし? 少しばかり儂は困惑も始めだしたから殿へと問いかけてみる事にする。


「のぅ~、殿~?」


「ん? 何、レヴィア?」


「先程から殿がしている、意味があるのか? 無いのか? 分からない。黄金色の物を立たせている作業……。その黄金色した物に儂は、先程から自身の目がいき魅入られてしまうのは、何故なのだろうか~?」


「えっ? そうなの? レヴィア?」


「うん、そうなのだよ。殿? 何故、儂の視点は黄金色した長い物にいくのだろうか~?」


 まあ、儂はこんな感じで、我が家の殿に訊ねてみたのだ。


 すると殿は、「ワッ、ハッハッハッ……」と、声を大にして笑いだしたから。


「ど、どうしたのじゃ~? 殿~? 急に笑い出して……。儂が何か殿に可笑しな事を申したのか?」


 儂は、笑い始めた殿に、慌てふためきながら訊ねたのだよ。


 急に我が家の殿が笑い始めたから、儂は殿に対して、何かしら? そそうのある事をしたのではないかと思って。慌てふためきながら訊ねた。


「あああ、ごめん、ごめんよ。レヴィア……。急に大きな声をだして笑い始めて、本当にごめんね~」


 慌てふためき動揺をしている儂に殿は、急に声を大にして笑い始めた事に対して、優しく謝罪をくれたのだよ。


 その言葉を聞き儂は、自身の頭を軽く振りながら。


「うぅ~ん、別に構わんぞ~」


 と、甘え声色でさり気なく殿に触れながら言葉を告げた。


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