第103話 魔王と勇者は、日本で初の販売をしたかも? (6)
「おぉ~い! 上島の母ちゃん~!」
ん? あれ? 何処からともなく、殿方の声を大にしながら、誰かを呼ぶ声が聞こえてきた。
と、いうか? 我が家の御店の隣で販売をしている御主人が誰かを呼んでいるようだが?
一体誰を、声を大にしながら呼んでいるのだろうか?
『母ちゃん』と言う名の物を呼んでいるようだが?
母ちゃんはと、言う名の者は全く気がつかないのだろうか?
まあ、儂はこんなことを自身の脳裏で、思案をしながら。少しばかり隣の御主人……。我が家の殿は、『ちくわのオジサン』と、呼んでいた御主人なのだが。彼の方をチラリと横目で見て、確認をし終えると。また我が家の殿の作業をしている様子を見始めた。
すると我が家のエヴァが、「あ、あの~。も、もしかして私ですか?」と、声を出した。
だから儂は、エヴァの身に何が起きた? と、思いながら。彼女の方へと視線を変えた。
するとエヴァは、自身の方へと指先を向け──。誰かに自分なのかと訊ねているようなのだが?
一体誰にこやつは、言葉を告げているのだ? と、儂は思っていると。
「あああ、そうじゃ~、そうじゃ~。金色の髪色した母ちゃんと、上島の後ろにいる黒い髪色した母ちゃんじゃよ~」
先程から『母ちゃん』と、言う名の者を呼んでいた隣の御主人の声が聞こえてきたのだ。
う~ん、どうやら?
『母ちゃん』と、言う名の者は、儂とエヴァの事を指していたみたいだ。隣の御主人は……。
だから儂も、エヴァにつられるように、隣の御主人へとまた視線を変えた。
「先程黒髪の母ちゃんが、芋ケンピの長い物に目が惹かれると申していたが。それは女性だからだよ」
と、告げてきたのだよ。
「えっ? どう言う意味ですか?」
儂はこんな感じで、隣の御主人に粗相のないように、ゆるりとした口調で言葉を返し訊ねた。
「アッ、ハッ、ハハハ~」
儂が隣の御主人に言葉を返すと。急に何故か、我が家の主人が声を大にして笑い始めだしたのだよ。
だから儂は、『えっ? 何?』と、思いながら主人の方へと視線を変える。
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