第83話 五味の市で魔王と勇者さま、販売するかも? (3)

 まあ、こんな感じで、赤穂のお兄さんは、驚愕をしながら、俺に訊ねてくるから。


 俺は彼に気兼ねなく「あ~い」と、笑いながら言葉を返す。


「えっ? どう言う事なん? 上島さん? 確か以前、奥さんおらへんって言ってなかったけぇ~?」


 俺の返事を聞いても赤穂のお兄さんは、レヴィアを見て驚嘆を漏らしてくる。以前妻がいないと俺から聞いているからね。


 まあ、赤穂のお兄さんさんがレヴィアを見て驚愕──驚嘆を漏らすのは仕方がないこと。


 だって俺自身も昨日の夕刻に起きた事件……。


 レヴィアとエヴァを俺が車で跳ね飛ばした事件……。


 その時にレヴィアに俺の妻で子供もいる。自分自身がエヴァとの対決で死が近いと悟ったから。今生の別れを俺に告げたくて逢いにきたのだと告げられるまでは。俺自身も妻子持ちだなんて知らなかったのだよ。過去の記憶をレヴィアに消されている為に。


 まあ、こんなことを俺は脳裏で考えながら。「ええ、俺は確かにお兄さんに独身だと言っていましたね……」と、告げると。

「先週ここでの販売が終わって帰宅をしたら。家のやつから、『もう一度やり直したい』と電話がかかってきて逢い……。そして話しをして、よりをもどしたのですよ」


 俺はいつまでもレヴィアを見て驚いている赤穂のお兄さんへと。俺達夫婦は少々訳アリで別居生活をして暮らしていたのだが、先週に無事仲直りをして、また暮らし始めたのだと告げた。そして説明を俺は終えると。


 赤穂のお兄さんに挨拶を済ませ、俺達二人の会話をポツンと佇みながら聞いていたレヴィアの強弱のハッキリしているくびれた腰へと──。


 俺は自身の二の腕を回し、自身の方へと引き寄せながら。

「なぁ~、レヴィア~?」と。妻へと声をかける。



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