第30話 俺と魔王さんと勇者さん (15)

 まあ、他人から情けない男だと思われようが、嫉妬心を募らせている俺は、こんな他人行儀な物言いで、幼子みたいな言葉を使用し拗ねることしか妻にできなかった。


 余りに俺のレヴィアが女性魔王の如く妖艶で美しい女性だったから。


 う~ん、でもね、俺の妻は。俺にばれては不味いようなやましい淫らな行為など他の雄としてはいないので。自身の身を潔白にする為に俺に怒号を放ってきた。


「あのなぁ~、殿~。儂は今迄、殿以外の雄と交わった事など一度もない。それに儂が殿以外の雄と交わる訳がなかろうに。可笑しなことを訊ねるなぁ~」


 でも、この時の俺は、いくらレヴィアが憤怒しながら怒号を吐き、自身は俺以外の雄には肢体からだを許していないと、身の潔白をしてこようが聞く耳持たず。口でならどうとでも言えるからね。妻の言葉を信じることはできなかった。


 まあ、そういう訳だから、俺は妻に対素知らぬ顔と冷たい様子──。


 そして冷たい目で睨み、レヴィアのことを淫乱な女性だと蔑み侮った態度をとった。


「殿~!」


 レヴィアの俺を呼ぶ悲痛な声が聞こえる。


 と、同時に。『ザッ、ザザザ……』と、妻の足音が聞こえてきた。


 また俺がそう思うと、レヴィアは俺の二の腕に掴まりしな垂れかかり甘えてきた。


 でッ、俺の二の腕はというと?


 家の奥さまの大変に豊満な胸の谷間に挟まれた状態になった。


 と、いうか。わざとレヴィアが挟んだのだと思う。



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