第29話 俺と魔王さんと勇者さん (14)
「儂とていつまでも殿を放置するつもりはなかった。でも儂にも個人的な諸事情もある。それに儂は殿の奥方でもあるが亜ノ国の太后でもある。だから自国の民を捨て、また異世界ゲートを開きこの日本。殿の許へと来る訳にはいかなかったのだよ……。その辺りは殿も儂の事情を考慮して欲しい……」
俺の予想を反してレヴィアは低姿勢……と、いうか? 彼女は気落ちをした声色で、十数年間俺を放置した訳を簡易的に説明してくれた。自国の女王さまだから民を捨て俺の許へとくる訳にはいかなかったと。
まあ、そんなことはレヴィアに言われなくても俺も大人だからわかる。
でもね? それならそれで、俺を自国に招いてくれてもいいのではないかな?
俺は直ぐにそう思った。
「じゃ、俺の許にくることができないなら。俺をレヴィアの統治する国に誘ってくれてもよかったのではないか?」
俺は拗ねた子供のように屁理屈な言葉をレヴィアに告げた。
「だから先程も儂が申したではないか。殿に。儂もこの世界から帰還後には、個人的に色々な事が起こり。儂も気がつけば時の方も数年程経ってしまった。だから殿に遭いづらくなってしまって、本当に申し訳ない。殿……」
相変わらず気落ちをした声色で俺に説明をするレヴィア……。
俺に説明を終えると妻は落胆しながら俯く。
でもね、そんなレヴィアの様子を見ても俺は、彼女を許すつもりはなかった。
「レヴィア~? もしかして? 俺を自国に誘えない訳は? 俺が人であり平民だからと……。それとお前の個人的な理由は、自身の派手な男関係か?」
俺は苦笑しながらレヴィアが俺を自国に誘えない理由を告げてやった。
するとレヴィアは俯いた顔を上げ、顔色変えた。
そんな様子の妻を見て俺は直ぐに思ったのだよ。レヴィアには男の影があると。
「そう言えば、先程エヴァさんに言われていたものなぁ~、レヴィア、お前は? 女王のお前なら、彼氏や夫になってくれ男性ならいくらでもいるからと……。でッ、お前は俺を捨てた後に何人の男達と床を一緒にしたのだ?」
まあ、俺は、こんな酷いことを妻に対して思った。だから相変わらず苦笑しながらレヴィアに訊ねやった。
まあ、最後の方は、俺の嫉妬心も含まれていたけれどね。
だってさ、本当にレヴィアには酷い言葉を暴言として吐いたと思う。
でもさ、仕方がないのだよ。家の魔王奥さまは余りにも妖艶で美しいから。レヴィアの口から俺一人だけだと申してきても信じられないから。俺は嫉妬心をあらわにしながら妻に対して暴言を吐き続けた
だから俺達夫婦の言い争いもこの後こんな感じ続いた。
「えっ? 今殿、儂に何と言った?」
「ん? ああ、上村レヴィアタンさんが、俺以外の男と何人交えたのかな? と、訊ねただけだよ? 何か俺が可笑しいことを聞いたか? 上村レヴィアタンさんに?」
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