第4話 大変なこと、出来事を起こしてしまったようだ。

「ああ~」、「はぁ~」と、相変わらず、俺と愛車のハイエースと、すれ違いざまに見る対抗車──。


その車内の様子……。



まあ、何と言うか? 何とも言い難い様子……。



そう、仲の良い二人若しくは? 




俺が結婚をして、妻を娶ると言うことにてなれば?


三十路を過ぎても。とうとう俺の許へと現れることもなく、この歳になってしまったから。未だに俺は、独り寂しくオタクをしているよ。


 まあ、今は、仕事の方も忙しいので、以前のように、ネットゲームや、東の中央都市で毎年おこなわれるイベントの会場周りなどは、してはいないのだが。スマートフォンでプレイできる簡単なアプリゲームやライトノベルや漫画、アニメの観賞などは、相変わらずしてはいる。


 だから今もライトノベルを購入するために、岡山県備前市の隣街──。兵庫県赤穂市のショッピングモールへと車を走らせている最中なのだ。


 う~ん、それにしても? 俺自身は本当にお袋には迷惑をかけ心配をさせたと思う?


 先程の俺の仕事ぶり……。販売をしている俺の様子を見ていた者達には、想像もつかないとは思うのだが?


 オタクの俺は、オンラインゲームをプレイするためにと。家の中で外出や仕事もしないでプレイ三昧な引き篭もり生活をして過ごしていたから。


 他界をした家のお袋は、独り身の俺を残して死ぬに死ねない状態だったと思う?


 俺自身がいつまでも、家中で引き篭りを続けるのではないかと思い?





 俺のことを監視するといった言い方は変かもしれないが?


 要するに俺と共に暮らし、老いてくれるまで側に居続けてくれる女性……。


 まあ、妻という名の者を早く娶って欲しかったのだと思う。


 う~ん、でも? 家のお袋が癌を患い。床に臥せ、他界をするまでの期間に、俺は彼女すらできない状態だった。


 となれば?


 俺と生涯を共に暮らし、過ごしてくれるような妻などは、尚更現れる訳などないから。


 家のお袋には、安堵した状態で他界をさせてやることができなかったから。現世に未練が残ったと思うのだが?


 まあ、俺はこの通り、お袋の遺言通……。最後の俺への諫めの言葉……。


「新太~。頼むから~。母さんが死んだ後も。家に引き篭もるようなことはしないでおくれ~。必ず外に出て~。出歩き~。人と交わり。楽しく話しをしながら~。暮らしておくれ~。あんたは~。元々~。勝気で目立ちたがり屋の性格だったのだから~。必ず外に出て~。働いていれば~。良い女性(ひと)が、現れる筈だから~。家に引き篭もるようなことはしないで~。開放的に暮らしておくれ~」と。


 家のお袋は、息を引き取る寸前に遺言書として、俺にこんな台詞を告げてきた。


 そして最後にこの世を去った。


 だから俺は、お袋の遺言通りに、外に出て働くことに決めた。


 それも~? 人と交わる機会が多いい。販売の仕事を始めたのだ。


 と、いっても?


 この販売業は?


 俺の親父の代からしている商いなのだよ。


 でッ、親父の死後……。お袋が親父の代わりに後を継ぎ、続けた販売業──。


 今度は、二人の息子である俺が、後を継ぎ続けている。


 そして今は、先程も告げた通りで、俺の住む県の隣である岡山県は備前市、日生町の五味の市へと商いをしにきたのだ。


 でッ、早く、今日の仕事を終わらせて、只今隣の兵庫県……。


 と、いっても?


 備前市の隣の市が、兵庫県赤穂市だったと思うから?


 俺の仕事のパートナーに乗り──走らせれば、二十分そこらで、赤穂市のショッピングモールへと着くから。


 そんなに距離はないのだよ。日生から赤穂市まではね。


 だから俺は鼻歌交じりで……ではないか?


 何故か? 過去の記憶を走馬灯が回るように思い出し。『ハァ~』と嘆息を何度も漏らしながら上り坂を上がるのだよ。


 俺の愛車、ハイエースでね。


 でッ、登り坂を上りきると──。


 今度は坂道……。


 まあ、当たり前のことだけれど、長い下り坂なので、事故には気をつけないといけないと俺は思う。


 だからできるだけ、ハイエースのスピードを控えながら坂道を下ることにするからね……ッて?


 あっ、あれ? あれは何……?


「あっ、危ない~」と。


 俺は咄嗟に思うと、自身の右足で力強くブレーキペダルを踏む──。


 すると? 俺のハイエースから、タイヤとブレーキが。


〈キィ、イイイ~〉


 と、鳴り響く──!


 でッ、その後は、ハイエースに


〈ガシャン~!〉


 と、衝撃音が響くのだよ。


 と、いうことは?


 俺は車で事故という名の大変なことをしてしまったのだよ。


 だから俺は「どうしよう?」と、声を漏らしながら落胆をするのだ。



 ◇◇◇◇◇








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