第39話 閑話~おさらいと設定の猫~
「はぁ、三毛のヤツ逃げたな……。あっ、ゴメンゴメン。ちょっと一休みというわけで、今回はこれまでのおさらいをしようと思ってね。まあ、栄養ドリンクでも飲みながら……」
「水臭いですよ。呼んで下さい」
「おっ、カモミール。助かる」
「我が主のためなれば。では、まずこの世界からいきましょうか」
この世界には無数の国がありますが、大きく八つの大陸に別れています。
この「猫の街」があるキーロフト王国はパーキシル大陸にあり、私の母国パテシュト王国はパラキア大陸にありました。
それぞれの国の特色は、キーロフト王国は何といっても猫。国の紋章に猫が象られているように、とにかく猫が多い事。猫好きの者には天国と言われています。
対して、パテシュト王国は吸血鬼が収める国として有名でした。特産品は有機農法で栽培されたニンニク。はい、吸血鬼がニンニクに弱いというのは迷信です。
この世界には多種多様な種族がいるため、ここで取り上げる事はしませんが、大多数を占めるのはやはり人間で、事実上人間中心の世界となっています。
「このくらいでしょうか。ざっくりですが」
「ありがとう。おさらいっていうか、知らないことばっかり出て来たきたけど、ありがとう」
「では、次は人物紹介ですが……」
「ああ、それは私か。カモミールは最近だから知らないでしょ?」
「はい」
「じゃあ、行くわよ。主要なのだけね」
・狸 カレン ストラトス……(他多数)
野良ゆえに正式な名前はない。皆が好き勝手に呼ぶが、概ね狸かカレン。
「街」の薬師として生計を立てているが、時には人間の街や他の街や村にも行くし、冒険者的な依頼を引き受けたりもする。
暴力的行為を好まず、魔物などと遭遇した時も戦闘を回避する事に手を尽くすが、実は相当な実力を持っているらしい? ……フフフ。
猫の街では、「狸歩けば事件に当たる」と言われるほど、やたらと事件に巻き込まれる体質で、ライバルにハメられそうになったり、死んでみたり、生き返ってみたり、不死身になったりしている。拗ねてどっかに逃げるのが癖。
薬師ではあるが、医師免許も持っている。但し、研修期間以外の実務経験が全くない「ペーパー医師」のため、あくまでも薬師である。
好きな物:自由とお酒(普段は我慢)
嫌いな物:首輪
・細目
アメリカンショートヘアの男。目が極端に細いので細目。分かりやすい。
何をして生きているのか不明だが、「街」の住人は大抵職業不詳なので一般的。
性格は超マイペースでどっかネジが飛んでいるため、彼に常識で物を言っても無駄。
そのくせ意外と頼りになり、ここぞというときにいい仕事をするため、うっかり惚れて痛い目を見た憎い奴。
私がけしかけたとはいえ、謎のプロポーズで三毛(後述)と婚約したどうしようもないヤツ。
好きな物:私(狸)の追跡と焼き魚
嫌いな物:骨で蘇生した三毛
・三毛
私が猫の街に引っ越してくる数年前に、他界した三毛猫の女子。
細目の元カノであり彼の一番の理解者である。戦っても勝ち目はなかった。
ある期をきっかけに私が蘇生したものの、結果的に私が死に……いいや。
私の店で店員として働いており、住む部屋を貸している。
ワケの分からん細目を、唯一理解してあげられる面白い子でもある。
好きな物:マタタビかけご飯と目玉焼き
嫌いな物:「街」を脅かす存在
・シロ
頭の先から尻尾の先まで真っ黒だが、なぜかシロと呼ばれる。
私が死ぬまで花屋さんだった蘇生士の女の子。
蘇生術の腕前も凄いが、島を持っていたり、色々凄い子。
彼女がチーム(?)に加わった事で、蘇生や治療の範囲が広がった。
好きな物:お花全般(特に葬儀用)
嫌いな物:お花全般(特に婚礼用)
・セリカ・ラリー
駆けだし冒険者として、私に接触したのが出会い。
その後、ことあるごとに関わりがあり、私が暴走すれば蹴飛ばしてでも元に戻してくれるが、彼女自身もなにか道を間違い始めている気がする。
最初はお客さんだったが、彼女の言動を見る中で、私の中では仕事上の相棒からプライベートの友人へと昇格した。
最初はナヨナヨだったが、いつの間にやらたくましくなり、剣の腕もまあ、並みくらいにはなったかもしれない。
三毛が言うには、私に恋愛感情を抱いているようだが、鈍いのでよく分からない。
好きな物:カレン用首輪コレクション(えっ!?)
嫌いな物:細目
五人衆
名前すら知らないほど謎が多いので、分かるだけね。
・長剣兄ぃ(以下、全て仮名)
リーダー格。武器は長剣。
常に冷静で隊員の信頼も厚そうだ。
私の見立てでは、剣の腕は上の中くらい?
・斧兄ぃ
一番影が薄い。デカい斧を持った戦士。
暑苦しい笑みがある意味男らしいので、一定のファン層は出来そうだが、いかんせん影が薄いのが難点。
・エルフの兄さん
二番目に影が薄い。物静かなのが原因か?
エルフという人間のようで人間でない種族。特徴はやたらイケメンで耳が長い事。
弓と魔法の名手で、とある事件でその射撃により事なきを得た事もある。
・杖姐
まさに姐。持つ杖が釘バットにすら見えるが、実は気が優しい。
一見すると普通の人間のようだが、ドラゴンと人間のハーフという「ドラグ・ハーフ」という希少な種族。
その類い希な魔力がもたらす魔法の威力は素晴らしい。
・罠姉さん(アンナ??)
罠解除を専門とする罠士のお姉さん。
彼女の全身にあった傷を治したことから妙に打ち解けてしまい、「ストラトス」の名を頂戴する事となる。
また、少々薬学の知識も持ち合わせている。
「へぇ、疲れた。ざっとこんなもんか……。カモミールはどうする?」
「自分で書きますよ。その方がいいでしょう」
「了解」
・カモミール・ブラド・パテシュト
パテシュト王国第一王女。
パテシュト王国滅亡時に脱出し、シロさんの島に漂着。餓死寸前の所で救助された。
その後、様々な便宜を図ってくれる猫たちに謝意を捧げると同時に、惜しげもなく私財を投じてくれる、えっと、カレン様についていく事で、新環境を生き抜く足がかりとした。
以降、カレン様の事は主としてしていたが、徐々に対等の友人として見るようになったが、そういう事に馴れていないため、ことあるごとに「我が主は……」と言ってしまう。
カレン様狙撃事件の際、本能的に危険を感じた私は非道を承知で、無断のままカレン様を実質不死化させてしまうなど、自分でもやり過ぎだと思う行動が目立つ。
通常ではあり得ない話しなのだが、なぜかカレン様は、そこまでしても守らねばと思ってしまう。
性格は自分では温厚な方だと思っていますが、一度「モード」が切り替わってしまうと……ごめんさい、「鬼」になります。
武器は二丁拳銃。それぞれ、いわゆるリボルバータイプになります。弾種はマニアックなので割愛しますね。
「こんなところでしょうか」
「お疲れさま」
「私もカレン様の人間名考えます。吸血鬼式になりますが……」
「な、なに、吸血鬼式って。いいよ、これ以上増えたら、何が何だか……狸でいいって」
「では、『我が盟友』で」
「うっ……吸血鬼式でお願いします」
「さて、それでは、次は捕捉解説行きますか?」
「そうね。大してないけど……」
・お金
クローネ硬貨(C)
人間界で広く使われている通貨。
銅貨、銀貨、金貨とあるが、単純にクローネ(C)と記載した場合は金貨を示す慣例がある。
銅貨百枚で銀貨一枚、銀貨百枚で金貨一枚と大変分かりやすい。世界的にはクローネ硬貨立てで取引されている最強の通貨。
グリファスコイン(GC)
猫界で一般的に使われている通貨。猫が単位なしで印額を提示した場合、GC立てである。価値はクローネの十分の一。
これには銅貨しかなく、単純明快でその枚数積み上げればいい。
「街」にはクローネとの両替所もあるが、気まぐれで手数料が変わるので注意されたい。確実性を求めるなら、人間の街の両替所を使うべし。
フォリント硬貨(F)
吸血鬼の国ということで閉鎖性が強く、国内で広く流通していたパテシュト王国独自通貨だった。
価値はクローネの十三~十四分の一と言われていたが、国外ではほとんど通用しないので実質ゼロという意見も……。
国内にのみ、クローネとの両替所があった。
・喋る猫
世界広しといえど、キーロフト王国に集中的に生息する変わった猫。
通常の喋らない猫も存在する。
人間などの飼い猫になったり、特定の飼い主を持たない野良猫になったりと好き勝手やっているが、同王国内でしっかり社会に溶け込んでいる。
基本的に二足歩行ではあるが、サイズは通常の猫と変わらない。
中には魔法を使う者もいる。
「あー、こんなところ?」
「そうでしょうね。足りない分は第二弾をやりましょう」
「そうね。それじゃ、寄り道おしまい。本流に戻りましょうか」
「はい」
「では、また!!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます