第16話 意外な過去
将来を約束した女性との再会を夢見て勉学と実技に励んでいたラーク。
「勉強は順調なのか?」
「学科の試験はもう取ったぜ、今度実技の試験だ」
「なに!?もう学科の試験合格したのか!?」
なんと、リュード達が地球へと帰還してから7か月程しか経っていないにも関わらず、もうすでにラークは航宙艦技師の学科の資格を取ったという。
以前は眼鏡をかけておらず、勉強の「べ」の字もしてなさそうな彼が近眼になるということは、よほど勉強に勤しんだのだろう。
昔からガッツと熱意だけは誰にも負けない勢いだったので。
ラークの方はとりあえず順調なので良かったとしよう。
本題はリュードだ。
何故リュードはこんな山岳地帯に囲まれた辺境の村に訪れたのか?
ただ昔の友人に会うためだけではないだろう。
リュードはラークに会いに来た趣旨に入る。
「なあ、今日俺がお前に会いに来たのには理由があってな、昨日ヘラクレスで試合があったんだけど、テレビ見た?」
リュードはラークに昨日の試合のことを聞くが・・・
「見るわけないだろ。そんな時間ねぇよ、技師の資格取るために勉強してんだよ」
ラークもかつて4年前はリュードと共に世界大会に出て見事、準優勝に輝いた実績の持ち主。
・・・しかし、やはり今は勉学に打ち込んでおり、過去の功績は本当に鳴りを潜めてしまったようだ。
「そっか・・邪魔して悪かったな。本当はお前に助言をもらいたくて来たんだけど・・」
「助言・・?」
「ああ・・・ラーク、お前スターズって覚えているか?」
なんと、ここであのスターズの名前が。ラークはスターズを知っているのだろうか?
「スターズ?ああ、覚えてるよ。俺が4年前に大会に出たときに初戦で当たった奴だろ?」
なんと、ラークはスターズと過去に対戦していたのだ。ということは・・
「そうそう、アイツ近年マジで強くなってて、去年俺もアイツと闘ったけど、負けたんだよ。昨日もアイツとルスランの試合を見たんだけど・・・」
「ルスランとスターズがやったのか?どっちが勝ったんだ?」
「DVD持って来たんだけど、一緒に見てくれるか?」
リュードは昨日の試合のDVDを懐から取り出してラークに見せた。
「・・・・・んー。今勉強で忙しかったんだけど、まぁ少しだけなら」
ラークはリュードと一緒にスターズの試合を見てくれるという。
「玄関先で長々と立ち話もあれだからな、入れよ」
ラークはリュードを家に入れ、リビングへと案内し、2人は椅子に座って昨日の試合のDVD観戦する。
激しいスターズとルスランの激闘。今まで勉学に励んでいたラークも二人の雄姿をジッと食い入るように見ていた。
そして、スターズの膝蹴りが脇腹に突き刺さり、悶絶して倒れるルスラン・・・。
二人の試合を見終え、リュードはラークに問う。
「どうだった?奴の闘い」
「どうだった・・・か。一言で言うなら『穴なし』だな」
ラークの口から出るスターズの『穴なし』という評価。さらにラークの言葉が続く。
「あと、アイツ可愛げがなくなったな。俺とやった時は負けて閉会式の時は悔し泣きしてたけど・・」
なんと、ラークの口から出た意外な言葉。
そう、前述でも書いた通り、ラークは4年前には準優勝という快挙を成し遂げていて、スターズとは初戦で当たったのだが、その時はラークのあふれる気合いを掌に集中させた一撃で、スターズの肋骨を折り、勝利しているのだ。
リュードがラークを訪ねた理由は他でもない。
「ラーク。スターズに勝ってるお前なら、奴に勝つための良い作戦があるんじゃないかと思って俺は今日ここに来たんだ。お前がもし今の奴と闘うとしたら、お前ならどうする?どうやって奴を倒す?」
リュードはスターズに勝ったラークなら良いアドバイスをもらえるかもしれないと期待して、ラークのもとを訪ねたのだ。
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