第11話 優勝候補登場!リュードを葬った男

ゼノスとミラルゴは試合後、壇上でお互いを称え合い、壇上を後にする。


そしてゼノスは試合を終えたので退場するべく控え室へと向かって歩き出した・・・

ように見えたが、どういうわけかゼノスは控え室へは戻らず、体中から噴き出すような汗をかきながらも観客席にどっかりと座り込み、壇上一点に鋭い視線を飛ばしたまま動かない。

どうしたのだろうか・・・?


ゼノスとは別の位置に座っていたリュードだが、リュードも表情が険しかった。


そして、会場にアナウンスが流れる。


『只今より、メインイベントを行います!!』


これから本日最後の試合『メインイベント』が行われる。

先ほどの地区予選決勝戦で闘ったゼノスとミラルゴの試合が最後ではなかったのだ。


会場は今日一番の緊張感と期待感と熱気に包まれる中、

7色の色鮮やかで豪華なカクテル光線が会場に拡散され、まさにメインイベントが始まろうとしていた!


そして、拡散されるように照らされていたカクテル光線が、一点に集中され、その光の中から入場してくる戦士。


『会場の皆さん、お待たせしました!本日のメインイベント、8ヶ月後に迫る世界トーナメントの優勝候補・・・』


会場の熱気は最高潮に達する!


『スターズ・ヴェイラース選手の入場です!!』

眩い光に包まれる中、会場にその姿を現す優勝候補と謳われるスターズ選手。


会場に入って来ると一度立ち止まり、周りをジッと見渡してから入って来るあたりを考えても彼の貫禄、風格が伺える。


ここでスターズ選手の紹介をしておこう。


~~~

名前 『スターズ・ヴェイラース』

備考・・銀色の髪を短髪に立たせた深紅の眼(まなこ)を持つ若きファイター。

髪は銀色だが、彼はアトラス大陸の人間ではなく、彼は北の万年雪に覆われた『ラスファロスト』と言われる島国の出身である。

拳で闘う武闘派ファイターで、細身の体をしているが、その体はかなり絞れており、攻撃力はかなり高い。

そしてなんといっても彼の最大の特徴は、深紅の瞳から分析される相手の行動を瞬時に的確に判断し、それをかわす動体視力である。

相手がどんな武器や技を使おうと、ほとんど相手の攻撃を被弾せずに避(よ)けてしまう。

そして避けた所にカウンターを合わせて相手を一撃で沈める強烈な技を持っており、タフガイが多いアトラス大陸の屈強な戦士でも彼の一撃には耐えられない。

そして何より、昨年の世界トーナメントで準々決勝でゼノスを、準決勝でリュードを失神KOで葬った男なのだ。

リュードやゼノスにとっては因縁の相手であり、二人の表情が険しかったのはこのためである。

今年リュードが優勝を狙っているからには、恐らく彼との闘いは避けられないだろう・・・。

~~~


一方、そんなスターズのメインイベントで相手を務めるのは・・・


『ルスラン・フィーリング選手の入場です!!』


~~~

名前 『ルスラン・フィーリング』

備考・・典型的なアトラス大陸の選手で特徴通り、銀色の髪と赤銅色の体を持つ。

ハードワックスでガチガチに固めないと立たないだろうという長い毛をツンツンに固め、オールバックにしているのが彼の特徴である。

特に世界大会に出場するという目標があるわけではなく、熱くスリリングな試合をするのが趣味で、毎回ここのヘラクレス闘技場で試合をしているベテラン選手。

槍と斧が一体化した『ハルバート』と呼ばれる武器を巧みに扱い、繰り出される技は多彩である。

『どうせ今日のゼノスの凄さをかませ犬だろう』

と思うかもしれないが、全くそんなことはなく、先ほどリュードやゼノスと闘ったロベルト、ミラルゴにも打撃戦だけでも勝利しており、伊達にメインイベントを務めているわけではない。

そして何より、このルスランという男は4年前にリュードとレイミがアトラス大陸へと初めて修行の旅に訪れた際、アトラス大陸で毒蛇のモンスターに噛まれて生死を彷徨ったレイミを助けてくれた恩人であり、更にアトラス大陸を共に旅をしながら案内し、更に技を伝授してくれたリュード達の恩人であり、友人でもあるのだ。

~~~


「ルスラン・・」

久々に元気そうなルスランを目にすることができ、リュードとテレビ越しで見ているレイミの表情にもうっすらと笑みがこぼれる。


そして、最高潮に達した熱気の中、ついにスターズとルスランの激闘が始まる。


レディー ファイ!!

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