第9話 果たして勝負の行方は・・・?
勝負の行方が判定へと持ち越された両者。
判定の集計が出されるまでの間、実況席のムツキとマイケルが今の試合について笑み半分、緊張の面持ち半分で振り返る。
「いやー、ものすごい接戦でしたがムツキさん、どちらが優勢と見て良いんでしょうか?」
「うーん、難しいところですね。個々のスキルではゼノス選手の方がいい攻撃を出していましたが、手数や突進力、気迫ではミラルゴ選手の方が好印象でした。・・・ですが、ゼノス選手は落ち着いていてガードしていたんで、致命的なダメージは受けていないと思います。それに対してゼノス選手の攻撃はミラルゴ選手にクリーンヒットしていた攻撃がいくつかありましたので・・微妙なところですね」
本当に微妙な展開だ。ムツキはゼノスと一戦交えた仲。リュードとレイミもゼノスとは子供のころからの友人だ。人情としてもゼノスを推したい所だが、
判定は選手とは全く無関係の人間が、ひいきをせず、冷静に今の試合をジャッジするのだ。
リュードも不安そうに檀上のゼノスを見据えていた。
「・・・(的確に攻撃をヒットさせていたのはゼノスだが・・微妙だな。ややゼノスの方が優勢な気もするけど、勝ったとしても、ラッキーだろうな・・)」
そしてついにジャッジの集計がまとめられ、発表される!
※判定は5分刻みに両者に10ポイントを与える感じで、
ドローなら10:10
どちらかが劣勢だった場合10:9が付けられ、
試合は20分のため、5分刻みの判定が4回に分けられて加算されるというわけだ。
さあ、判定の時!
「ジャッジ一人目・・・・・」
会場はシーンと静まり返り、自然と緊張感に包まれる。
「ドロー!!」
なんと一人目の判定は引き分けという結果に。
続いて・・
「ジャッジ二人目・・・・・40:39」
差がついた!どっちだ!?
会場で固唾を飲んで見守るリュード「ゼノス・・・かな?」
「ミラルゴ!!」
「えっ!?」
なんとジャッジ二人目はミラルゴを支持!リュードも思わず声に「えっ!?」っと出してしまう。
ミラルゴは軽く手を挙げている。
「・・・」
ゼノスの表情は青ざめていた・・
そして・・・
「ジャッジ3人目・・・・・40:39!」
また差がついた!もしミラルゴだった場合、勝者はミラルゴとなり、8ヶ月後の世界大会はミラルゴが進むこととなる。
どっちだ・・・! どっちだ・・・!?
レイミもテレビでその様子を生放送でジッと見つめている。祈るように手を組んで・・
「・・・(お願い・・・ゼノスに付けてあげて)」
そして、3人目のジャッジが下された・・。
「・・・・・・ゼノス!!」
なんと3人目のジャッジはゼノスに付けていた!
最後のジャッジがゼノスに付けたため、辛くも試合は延長戦へと持ち越された。
一人のジャッジがドローと付けたため、ゼノスは首の皮一枚繋がったように命拾いしたようなものだ。
しかし、まさかの延長戦。ゼノス、世界大会へ向けて黄色信号!!
「ミラルゴの手数にポイントを付けたジャッジが一人と、ゼノスの的確な攻撃にポイントを付けたジャッジが一人で分かれたか・・・でもこれ、危ないぞゼノス!」
リュードも冷や冷やした面持ちで延長戦を観戦する。
延長戦はよりジャッジが厳しくなる。
もしゼノスが手数でミラルゴに上回られてしまったら・・・
ただ不安だけがゼノスの周囲を包み込む中、運命の延長戦!
レディーファイ!!!
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