第5話 リュードVS地元の強豪②
試合開始の掛け声とともに、両者が詰め寄る。
「肝突殺(かんとつさつ)!」
先に仕掛けたのはロベルトだった。相手を突き放す前蹴りをリュードの腹部めがけて蹴る。
リュードはそれを腕で受け流し、相手の足が地に着く前に踏み込み、強力な右ストレートを放った。
「肝突殺(かんとつさつ)!」
だが、地面に足がつかずとも、蹴りを出すための態勢が良かったため、ロベルトはリュードの右ストレートを上回る足技のリーチでリュードを突き飛ばす。
少し後ずさりしたリュードだったが、ここは強引にパンチで行こうとせず、
「真空蹴(しんくうしゅう)」
ロベルトに足技に対し、リュードも右のミドルキックで応戦する。
バシン!という音と共にリュードの蹴りがロベルトの腕にヒット!
「真空蹴(しんくうしゅう)」
またもやリュードが右の蹴りを出し、ロベルトはミドルキックに対してガードを固める
バーン!!
だが今度はミドルキックではなくロベルトの顔面を狙ったハイキックだった!
運良く腕は顔面もカバーしてあったため、直撃は免れたが、衝撃はしっかりと伝わったらしく、ロベルトは大きくのけぞった。
実況席で解説を務めるムツキ。
「今のハイキックは効きましたよ。リュード行きますよ!」
リュードは間合いを詰め、素早い左右のパンチを打ち込み、
「死神の鎌(サイス)!」
死神の鎌と書いてサイスと呼ぶ強烈なボディーブローをロベルトの脇腹に打ち込む。
ドーン!というような音が会場に響く。
「うわぁ、すごいボディブローですね!」
実況がリュードのボディブローを絶賛する。
またリュードはじりじりと間合いを詰め、ローキックからの小さい左右のパンチを2連続で放ち、
「「死神の鎌(サイス)!」
ドーン!!
またリュードのボディブローが炸裂する!
その音はテレビ越しで見ていたレイミ達の耳にも聞こえてくるほどだ。
「凄いじゃない!リュード君強いね!」
レイミの母親が隣に座っていたレイミに声をかけ、レイミは無言でうなずく。
「真空蹴(しんくうしゅう)!」
ロベルトも負けじとミドルキックを返していく!
「アトラス大陸の出身の選手は根性あって打たれ強い選手が多いから倒れませんが、かなり効いてますよ」
解説のムツキはロベルトの打たれ強さを評価する一方、リュードの攻撃も効いてると言う。
「肝突殺(かんとつさつ)!!」
ロベルトは何とか立て直そうと前蹴りを放つ
「幻竜拳(げんりゅうけん)!」
だがもう完全に見切られていて、リュードはロベルトの前蹴りをすくい上げるように足を掴み、バランスを崩したところに幻竜拳と呼ばれる鋭い踏み込みから放つ右ストレートを放った!
またもや大きくのけぞるロベルト。
容赦なく間合いを詰めるリュード。
「連弾撃(れんだんげき)!」
もう仕留めにかかっているリュードは連弾撃と呼ばれる小さいパンチの連打をロベルトのガードの上から叩きこむ。
そして・・・
「死神の鎌(サイス)!!」
出た!リュード必殺のボディブロー!
ロベルトは必死にボディをガードする!
ガキーン!!
だが、打ち込まれたのはロベルトのボディではなく、顔面だった!
ダーン!という音を立て、なぎ倒されるようにロベルトは檀上の床に大の字に倒れる!
「素晴らしいコンビネーションでしたね。打たれ強いロベルト選手でももうこれは立てませんね・・」
解説のムツキが静かにリュードの勝利を確信する。
テレビ越しで見ていたレイミも胸に手を当て、リュードの勝利にホッと息をなでおろす。そして隣に座って見ていた母親に語り掛ける。
「お母さん、最後の攻撃フェイント使ったの分かった?本当はあの攻撃は下の腹部を打つ技だけど、下を打ち込むと見せかけて上の顔面を狙ったのよ。あのフェイントがリュードの十八番なのよ」
リュードの闘いを隣でずっと見てきたレイミはリュードの闘い方を誰よりもよく知る理解者だったのだ。
リュードは檀上を背に両手を突き上げ、控室へと戻っていった。
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