喪失転生 異世界で強くなった俺は死んで2000年後にダンジョンとして復活していました。
@suginotoyama
第1話 プロローグ
喪失転生 異世界で強くなった俺は二千年後にダンジョンになっていました。
プロローグ
俺は服部秀次(しゅうじ)。以前は大学受験を一年後に控えた17歳の高校生だった。
これといって、話すような趣味や特技は無いし、スポーツや学面に於いても、自慢出来るほどとりわけ秀でているわけでもない。
況してや、親が裕福だとか、逆に親の収入が少ない為にこの上なく貧乏な家庭であったとか、そういう訳でもない。
ごくごく普通の平凡な生活を毎日過ごして生きてきた。
朝起きて、学校へ行き、放課後になれば帰路へ着く。
今はこれが俺の仕事であり、義務ともなっているのだが、大人になればそれも変わってしまうだろう。
だが、そうは言っても学校という場所が会社に変わるだけで、特に平坦な日々を大きく揺るがすような変化はないのかもしれない。
人間の人生は何とも無味乾燥としていて、明快なのだろうか。
俺はそんな呪いにも似た退屈の連続が一層の事、全て瓦解してしまえば良いと思った。
良い会社に着く為にそれなりの勉強をして、それなりの大学に入学し、卒業する。
こんな詰まらない人生なら、願わくば誰かが壊してくれないだろうか?
それは画一的な人生を送ることに意義を見出せなかった俺の世迷い言だった。
だが、ある日をきっかけにそれは世迷い言ではなく、現実となってしまう。
それは突然に起きた……
いつもの様に過ごしていた、パッとしない日々が一変させられるような、思いも寄らない転機が自分の身に降りかかったのだ。
転機が訪れたその日、俺は死んだ。
どうやら、俺は4トントラックに跳ねられ、無残な死を遂げたらしい。
だが、不思議な事に俺は生きていた。
それはまるで、最悪の不幸を一瞬で揉み消してしまったかのようなあっという間の出来事だった。
当時、俺は何が自分の身に起きていたのか分からなかった。
「俺は死んだのか?生きているのか?」
自分が本当に事故で死んだかも分からないあやふやな状況だった。
それでも、息はしているし、身体も何ともなければ、その日身につけていた制服も傷一つ付いていなかった。
やがて、自分がどんな状況に遭っているのか考えるぐらいには頭が回り始めたその時、何となしに見上げた空に俺は息を呑んだ。
(嘘だろ……)
何処までも蒼蒼と澄み渡る大空に、地上からでも其の途方もない大きさが分かる巨影が一つ。
「此処は地球なのか?」
俺がそれを見て真っ先に思ったことがそれだった。
その巨影は御伽噺の世界にだけ存在する筈の造物。
ドラゴンだった……
リアニス王国西部オールド群に位置するメルト市は"ハンター"と呼ばれる何でも屋が、挙って集う非常に栄えた街だ。
メルト市はリアニス王国に於ける財政、経済の中枢であり、また、国に5つある政令指定都市"ポリス"の1つである。
メルト市がポリスに選ばれたのも、他の各都市に主要商会を持つ商人がメルト市に訪れ、また其処に支部を置き、食材、日用品、衣類と言った生活品からハンター向けの武具や防具、魔石等が活気よく流動し、大規模な市場を開いているからだ。
とは言え、かつてのメルト市はポリスに指定されるほど栄えた街でもなければ、名商人が自分達の支部を置くほど、経済的に潤っていた場所でも無かった。
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