勇者がいつまでも剣を振るうだけだと思うな
芍薬
突然だけど、僕死にました
オッス!僕、魔王!魔王のグリート・キル・マルス!
魔法に栄えた王国、"グリート"を収める偉い人だよ。
ちなみに今年で1351歳の彼女なし。まだピッチピチのお兄さんなのさ!
さて、本題に移ろう。
突然だけど僕…
死にました。
_____
僕はいつも通り王宮でぐうたらしていた。
ゲームしたり、マンガ読んだり、ゲームしたり、マンガ読んだりしていると突然謎の光がこのグリートを包んだ。
「なんだ!?」「キャー!」
人々の騒ぐ声が聞こえる。だが幸い、被害はなにも無いようである。
「皆!大丈夫か!?」
そう僕はさけんだ。だが、僕の声は皆に届いてないようだ。
………?身体に異変を感じた。
どうやら僕の体と魂が分離してしまったらしい。くそ、厄介なことになった。
すぐ体に手を伸ばすが強力な力に飛ばされて……
今に至る。
魂だけの存在となった僕は力に飛ばされ続ける。止まりたいが止まらない。
その時、"ピクリ"
! 体の感覚だ!
この際、この体を一時的に借りて王宮に戻ろう…
「オギャー!オギャーー!」
「おめでとうございます!元気な男の子です!」
…どうやら僕は赤ん坊の体に入ってしまったらしい…
さらに運の悪いことに、
この子は勇者になる運命を持つ子供だ。
いくら魔王の僕でもこの運命に逆らうことは出来ない。
この子は後に僕の部下達を倒し、僕をも倒す勇者になる。それがこの世界のシナリオ。
わかってはいた。
ただ僕がそれに背いて生きてきただけなのだ。
どうやら僕の"体"の方に異質なナニカが入り込んだらしい。
ナニカはこの平和なグリートを危険に脅かす。
僕は完全に悪者になるということだ。
……こうなったらやるしかない。
僕は僕を倒す旅にでる。
勇者がいつまでも剣を振るうだけだと思うな 芍薬 @Syakuyaku_saniwa
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