とあるVRMMORPGの話

「ただいまより、このゲームの参加者はアバターを使うことができなくなります」

運営と言う名の鶯嬢がそう告げると場は騒然となった。

命をかけたデスゲームで俺たちは本来の姿に戻ることになったのである。

何、心配することなどない、俺はアバターと自分の姿がかけ離れてなどいないのだ。

問題なのはパーティー中、ずっと気にかかっていた、とあるキャラの中身だ。

そのキャラはいちごみるくという名のおいしそうな名前で、パーティー唯一の女子だったのだが、いちいち言動がうさんくさい。なのでパーティー全員が彼女を「あいつオッサンさんだよな」と噂したものである。

VRMMORPGの魔法が解けて、それみたことかと騒ぎが起きる中で俺はいちごみるくを見つけた。

やつはガタイのいいすね毛ボーボーの長身のおっさんである。

「おい、お前がいちごみるくだろう!」

「ち、違う、俺はメティ(このゲームのマスコットキャラ)だ!」

遠くから女の声がした。

「俺がいちごみるくなんだよ!なんだよこの野郎!文句あるのか!」

ネカマではない。ネナベだった。

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