プロローグ

 プロローグ 


 君は何故、この世界に人類の脅威が存在しないか考えたことがあるかい?

 西暦二〇十九年。

 地球全土に人類が反映している黄金時代。

 勿論人間以外の動物や昆虫、魚類、微生物、植物など多種多様な生き物は存在するが、知性を持ち文明を発展させた生き物は人間だった。

 誰もが知っている通り、人は進化の過程で火や電気を駆使して文明を発展させ、現在の姿を作り出した。今や人類未踏の地はこの地球上に存在せず、同じように高度な文明を築く種族も存在しないのは当たり前と考えられている。

 では何故それが当たり前なのか。

 様々な文献や過去の言い伝え、神話、物語には異形の種族が存在しているにも関わらず、だ。

 つい三百年ほど前までは大きな種族間での争いが行われていた。

 人類対悪魔及び天使、他にもモンスターや異種族との闘い。極東の地では妖怪という存在もいた。彼らは各々がその『次元』の繁栄権を得るために剣を交えてきた。

 その争いに勝利をもたらす為に、人類は『騎士』と呼ばれる存在を誕生させた。

 騎士は『騎士紋章』から『騎士鎧』を呼び出し、人類の脅威と戦う存在。

 その戦いの歴史は大昔からある、どこにでもあるような物語だ。

 だからここに記載するつもりはない。

 問題はその後だ。

 改めて問う。

 君は何故、この世界に人類の脅威が存在しないか考えたことがあるかい?

 それは前述した内容からも明らかだろう。

 では私はこう問おう。


 脅威を失った世界で騎士はどう歩んでいくのか、君は知っているかい? と。


 ――――ナイツオブアウェイク書記マリアベル=BR《多種次元碌:手記》の一説から。

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