お豆ちゃん


節分の次の日の朝。


「よ、おはよ!」


「はよ」


「おはようさん」


登校時、リョウタロウは2人に挨拶した。


そしてこう言った。


「昨日の節分どうだった?」


「どうだったって聞かれてもな」


「せやなー」


素っ気ない2人に若干拗ね気味なリョウタロウ。


「ソウヤもシュンもつまんねぇのー」


「そういうお前んとこはどうだったんだ」


ソウヤに質問を返され複雑そうにリョウタロウは口を開いた。


「母さんが鬼役の父さんに思いっきり全力で豆ぶつけててさ…父さんが可哀想で俺はそっと見守ってたぜ…」


「「へぇ…」」


ソウヤとシュンは思った。


あの父親を可哀想だと思えないのは何でだろうと。


そして気分を変えるようにリョウタロウが嬉々としてこう言った。


「あ、でも俺は新しい恋人出来たぜ?」


ソウヤは何となく察した。


「リョウタロウ…お前まさか…」


「そう!節分のお豆ちゃん!」


「…………」


シュンは言葉に出来なかった。


「おっまえはバカか!豆は食うもんだぞ!」


「あんなに可愛いお豆ちゃんを食べるなんて出来る訳ねぇだろ!」


朝っぱらからギャーギャー言い合う2人。


シュンはついていけない。


「俺先教室行くわ…やってられへん」


そう言ってさっさと歩き出したシュン。


「待てよシュン!シュンもお豆ちゃんの可愛さについて語ろうぜ!」


「誰が語るか!付いてくんな!」


「俺もリョウタロウほっといて教室行こ、シュン悪かったな」


「別にソウヤ君は悪くないからええで、一緒に行こか」


「あー!ソウヤずるいぞ!」


こうしていつものように一日が始まる。


リョウタロウとお豆ちゃんの行方はどうなる事やら。



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