お泊まり会(前編)
「ソウヤ!シュン!今日俺ん家泊まってかねぇ?」
帰り支度をしているソウヤとシュンを両手で後ろから抱きしめリョウタロウは切り出した。
「うぉっ!」
「なんやねんいきなり」
「いやさ、良く分かんねぇんだけど母さんが父さんと俺の事でお詫び?したいから家に呼びなさいってさ。んで、ご馳走振る舞うからついでに泊まってけって」
「詫び?」
「心当たりはないん?」
そう疑問形で返す2人にリョウタロウはキッパリと。
「あり過ぎてない!」
断言した。
「ま、たまにはそういうのもええかもな」
「あ!パジャマは父さんが用意してくれるって」
「「断る!!」」
2人して即答した。
だってあのお父さんだもの。仕方ない。
「んじゃ用意したらシュンとお前ん家行くわ」
「りょーかい!」
こうしてお泊まり会の鐘が鳴り始めた。
ーリョウタロウの家ー
「ふんふふーん♪」
珍しくリョウタロウの母親が鼻歌を歌いながらご馳走を作っている。
「ふんふふーん♪」
こっちでも鼻歌を歌いながら父親が変な柄のパジャマを3着用意している。
「ふんふふーん♪」
そしてこっちでは鼻歌を歌いながらリョウタロウが何やら謎のものを用意していた。
そこへピンポーンとインターホンが鳴った。
「へぃらっしゃい!」
「お前は寿司職人かよ」
「とりあえずお邪魔します」
ソウヤとシュンがやって来た。
「おぉ!愛しのソウヤきゅんとシュンきゅん!よくぞ来た!パパは君達のパジャマを用意して待ってたんだよ!」
「あの、いやその…」
「自分ら持ってきてるんで…」
「なんと!?お父さん寂しい…」
「父さん!俺は着るよ!」
しょんぼりした父親にリョウタロウは両手を握って見つめた。
「おぉ!リョウタロウはなんて優しいんだ!!父さん、母さんと出逢ってなかったらリョウタロウと結婚してたぞ!」
「父さん!」
「アンタ達…その前に私がいなかったらリョウタロウは産まれてないでしょうが!!ごめんなさいね、2人とも…ご馳走用意してあるから上がって?」
「「は、はい、失礼します」」
リョウタロウの母親に促され、ソウヤとシュンは家の中へと入る。
すると、テーブルの上に物凄く豪華な食事が大量に並べられていた。
「スゲ…」
「お母さんありがとうございます」
「あらまぁ、シュン君、ヨウコさんでいいのよ」
「はぁ…?」
頬を赤らめて母は言う。
そこは夫婦似てた。
するとそこでリョウタロウが先程用意していたものを取り出しソウヤとシュンに見せる。
「2人とも!これ見てくれ!行くぞ?」
と、おもむろに爆竹に火を着けた。
バチバチバチバチッ!!
凄い音で家中爆竹が鳴り響く。
「おい!」
「何してんねん危ないやろが!!」
「え、楽しめるかなと思って」
「リョウタロウちゃん…?」
母親の静かな声が聞こえた。
そしてその後。
「アンタ何やらかしてるの!この大馬鹿者!!アンタだけご馳走抜き!廊下で正座してなさい!!」
「はいぃ!!」
母親の雷が落ち、結局またリョウタロウだけご馳走を食べれなかった。
そこは流石のソウヤとシュンも母親に賛同していた。
まだお泊まり会は続く。
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