逆戻り


「ソウヤァ!」


ソウヤが帰ろうとした所でリョウタロウが泣きついてきた。


「サンタさん母さんに捨てられたぁー!」


「まぁそうなるわな」


ソウヤは至って冷静だ。


と言うか、お母さんがまともな人で良かった。


「折角ハーレム出来たのに!また独り身に逆戻りだよ!」


「鼻水つけんな馬鹿!」


鼻水垂らしながら号泣するリョウタロウにソウヤが怒鳴る。


「ソウヤどうしよう!」


「知るかキチガイ!」


引っ付いて離れないリョウタロウをソウヤは必死になって離す。


「この間のお兄さんとでも付き合おうかな…」


「だからお巡りさんにまで盛んな馬鹿野郎!」


毎回ながら安定の2人。


流石にダチとしてまともな恋をしろと言い聞かせようとした時には、リョウタロウはそこにいなかった。


「ねぇねぇユカリちゃん!俺と付き合っ…グハァッ!」


「私に触れんなキモイ!」


怒りの腹パンを食らうリョウタロウ。


というか、もう早速違う人口説いてますけど。


「はぁ…なんで俺アイツとダチやってんだろ…」


いい加減嫌気が差してきたソウヤ。


そしてそこで黙らせようと、どこからか登場したガムテープを後ろ手に隠し、リョウタロウを呼ぶ。


「リョウタロウ、こっち来い」


「なんだソウヤ!付き合ってくれんの…ムグッ!」


期待に満ちた目で近付いて来たリョウタロウの口と両手をガムテープですかさず止めた。


「お前黙ってりゃルックスそこそこなんだからこれからずっとそうしてろ」


「ンー!ンー!」


「それが嫌なら性格見つめ直せ、分かったか?分かったんならガムテープ取ってやる」


そのソウヤの言葉にもがきつつリョウタロウがコクコクと何度も頷くと、気が済んだのかソウヤはガムテープを剥がした。


「ぶはぁっ!」


これで流石のリョウタロウも懲りただろうと思っているとまたもうそこにはリョウタロウの姿はない。


「ユウスケ!お前で良いや、俺と付き合おう!」


「死んでも付き合うかオタンコナス!」


学習しない、いや、めげないリョウタロウは色んな人を口説きまくる。


そこで一言ソウヤが零した。


「そろそろアイツと縁切ろうかな…」


心の声が漏れたソウヤであった。


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