東京湾クルーズ
東京湾に浮かぶ大きなクルーズ船、豪華な内装に俺は気圧されていた
「こちらでございます、寛二様」
案内をしてくれた女性は頭を下げるとその場を離れた
「入るぞババァ」
一応ノックしてから入るとクリスタルのコップが飛んできた
「誰がババァだよ、このバカガキが」
「うるせぇよ、折角のウェディングドレスが泣くぞ」
俺は母親の傍らにあったデカンタからコップに水を注いで一気に飲み干した
「向こうが条件にしてきた家族と同居を了承してくれたり、最近少しは母親孝行出来る様になったと思ったのに」
「一応女手一つで育てて貰った恩義位は感じてるからな」
そんな会話をしているとドアがノックされた
「どうぞ」
声をかけてから入って来たのは生野姉妹だった
「お母さまお綺麗です」
「馬子にも衣装って言うんだ」
七瀬の言葉に答えたらヒールで脛を蹴られた
「二人ともモデルさんみたいじゃないか、こんなカワイイ娘が出来るなんざ長生きはしてみるもんだね」
「こちらこそ、こんな綺麗な母親が出来るなんて…」
「中身はヤクザ顔ま…」
言い切る前にまた蹴られた
「仲が良いんですね」
「ずっと二人家族だったからね」
その時出港の汽笛が聞こえた
「それじゃあ私達は部屋に戻りますね」
「スーツ似合ってるよ寛二君」
部屋から出る際に里奈がそう言った
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